2018年4月19日木曜日

★キューバ国会が国家評議会員31人を選出。ミゲル・ディアスカネル第1副議長が議長候補に▼注目の第1副議長候補には労働界代表のサルバドール・バルデス=メサ▼全体的にラウール路線継続の色合い

 社会主義キューバの人民権力全国会議(ANPP,国会)は4月18日、首都ハバナの会議殿堂で特別本会議を開き、3月の選挙で当選した605人(うち1人欠席)の議員が就任、同議会内に設置される最高意志決定機関、国家評議会の会員候補31人を選出した。

 ラウール・カストロ現国家評議会議長の後任には、ミゲル・ディアスカネル現第1副議長が予想通り推挙された。同氏は57歳だが、間もなく58歳になる。

 第1副議長には、元キューバ労働者中央同盟(CTC)議長サルバドール・バルデス=メサが推薦された。就任すれば、エステバン・ラソANPP議長と並び、黒人系最高位となる。

 5人の副議長には、ラミーロ・バルデス(85)、ロベルト・モラレス、グラディス・ベへラーノ、イネース=マリーア・チャプマン、ベアトゥリス・ジョンソンが推薦された。グラディス以下3人は女性。

 また「官房長官」役の書記には、オメーロ・アコスタが推挙された。他の23人は平会員。事実上の決定で、31人は19日正式に就任する。
 ラウール議長は政権を離れ、共産党(PCC)第1書記として、新議長の後ろ盾になる。

 今回の人事の特色は、第1副議長に労働界指導者バルデス=メサが内定したこと、および革命第1世代のラミーロ・バルデスが5人の副議長の首席の地位に就くこと。
 バルデス=メサは72歳で旧世代に繋がり、「労働者主体の経済改革」というラウール政権の建前(政策)を継承する。また革命司令官ラミーロはラウールの腹心として、新しい国家評議会に「にらみ」を利かせることになる。
 女性3人の副議長登用は、「男女平等」政策にほぼ合致する。

 新議長となるディアスカネルは電気技師。出身州ビージャクラーラで共産主義青年同盟(UJC)幹部となり、次いで同州共産党第1書記に就任。大学で教鞭もとった。
 ラウール議長は2013年に自身の後継者の地位である第1副議長に抜擢、「帝王学」を授けてきた。

 2016年半ばに来日し、安倍首相らと会談した。この時の招待で安倍首相は同年9月末、日本の首相として初めてキューバを訪問し、カストロ兄弟と会談した。
 首相はラウール議長の訪日を招待したが、実現しないまま議長は19日任期を終える。ディアスカネル新議長が日本をキューバ議長として初めて公式訪問する可能性がある。
 故フィデル・カストロ前議長は非公式に2度来日した。

 18日にはANPP議長選挙もあり、エステバン・ラソ現議長が再任された。議員605人のうち女性は322人、男性は283人。

 これでカストロ一族でない人物が初めてキューバ政府の最高指導者になることが確定した。1959年元日の革命から実に59年、ようやく世代交代が実現する。

   一方、ベネズエラのニコラース・マドゥーロ大統領は18日、ラウール議長を祝福するメッセージを送り、近くディアスカネル新議長に会うため訪玖したいと述べた。

2018年4月18日水曜日

 ボリビアが南米諸国連合(ウナスール)議長国就任、連合活性化へ▼トランプ米大統領が一部ラ米大統領にベネズエラへの軍事介入を働きかけたとエボ・モラレス大統領明かす

 ボリビア政府は4月17日、南米諸国連合(ウナスール)の議長国を亜国から引き継いだと正式に発表した。任期は向こう1年間。
 この日付は、ウナスールの発足記念日。2007年のこの日、ベネズエラのマルガリータ島で南米エネルギー首脳会議が開かれた折、南米諸国共同体(CSN)をウナスールと改名することが決まった。その後、08年5月ブラジリアでウナスール設立条約が結ばれた

 亜ウルグアイ伯パラグアイ智ボリビア秘コロンビア赤ベネズエラのラ米10か国と、ガイアナ、スリナムの計12か国が加盟。本部は赤道国のキトに置かれた。
 ウナスールは、南米の大多数が進歩主義・左翼諸国となっていたことから、域内の紛争などを解決する有力な手段だった。

 だが2013年にウーゴ・チャベスVEN大統領が死去、15年末、亜国に財界右翼のマウリシオ・マクリ大統領が登場、16年8月、ブラジル国会のクーデターでヂウマ・ルセーフ大統領が弾劾され労働者党(PT)政権が崩壊。南米は急激に右旋回した。
 するとウナスールは団結を失い、実質的に機能しなくなった。首脳会議も開けなくなった。

 そんな状況の下、ボリビア先住民族アイマラ人のエボ・モラレス大統領がウナスールの顔となった。エボは政治基盤であるコチャバンバ州のサンベニート市にウナスール・ボリビア本部を建設中。エボはウナスール活性化を外交の中心に置いている。

 ボリビア外務省は17日、「ウナスールには南米市民4万人の認同(イデンティダー=アイデンティティー)が懸かっている。それは文化、社会、経済、政治的な南米統合過程で形成される」と声明で強調した。
 さらに、「そのためにボリビアは対話、協力、平和、民主、市民参加、人権尊重を深化させる」と述べた。
 ボリビアはまた、ラ米・カリブ諸国共同体(CELAC、加盟33か国)の議長国を19年に務める。

 難題は、ウナスール事務局長が空席であること。17年1月にエルネスト・サンペル(元コロンビア大統領)が退任して以来、後任が決まらない。南米右旋回で12か国の合意形成が困難になったためだ。
 このほどリマで開かれた第8回米州首脳会議でも南米は、「反ベネズエラ」の亜パラグアイ伯智コロンビア秘ガイアナと、そうでないボリビア赤ウルグアイVENスリナムと、「7対5」に分裂した(VENは不参加)。

 エボは首脳会議後の15日カラカスを訪問、ニコラース・マドゥーロ大統領に首脳会議の内容を伝え、併せてウナスールとCELACの運営について協議した。
 カラカスでの記者会見でマドゥーロは、「リマ会議ではイデオロギーと政治の不寛容が支配した。それは米州首脳会議が終わりの始まりに陥ったことを意味する。かつて南米右翼がコロンビアのウリーベ政権だけだった時、誰もコロンビアを制裁しようなどと言い出さなかった」と述べた。

 マドゥーロはまた、VENはウナスール、CELAC、ALBA(米州ボリバリアーナ同盟)、カリブ石油連帯機構(ペトロカリーベ)などを通じて地域の多様性を追求してゆく、と語った。

 VEN外務省は17日、カラカスの米大使館(大使無し)を訪れ、米国が14日リマで「反ベネズエラ」のリマグループ(グリマ)14か国と共に(首脳会議枠外で)宣言を出したことに内政干渉として抗議した。
 マドゥーロは17日、米英仏軍によるシリア爆撃について、「VENにはシリア系100万人がいる」と指摘、爆撃を糾弾した。

 一方、エボはラパスで17日、テレスール(南部テレビ放送、本部カラカス)との会見で、「昨年9月国連の場でトランプ(米大統領)と会ったラ米諸国の大統領の一人からリマで打ち明けられたのだが、トランプからベネズエラへの軍事介入に賛成するよう働きかけられたという」と暴露した。
 トランプは当時、国連でブラジル、コロンビア、ペルーなどの大統領と会談している。

 コチャバンバ市では今月下旬、第12回南米議会議長会議、列国議会同盟議長会議が開かれる。

2018年4月17日火曜日

 キューバ議会が18日、最高幹部31人選出へ▼その中から19日、次期議長(国家元首)を互選▼新議長にはミゲル・ディアスカネル第1副議長が事実上内定

 キューバ各国営メディアは4月16日、人民権力全国会議(ANPP、国会に該当)が18日、国家評議会員31人を選び、19日、新しい国家評議会議長(国家元首)らが決定、就任すると一斉に報じた。

 ANPP議員選挙は3月11日実施され、共産党員605人が当選した。当選者は18日に正式に就任(任期5年)し、最高決定機関である国家評議会員を議員の中から選ぶ。
 選ばれた国家評議会員31人は19日、議長、第1副議長、副議長(5人)、書記を互選する。残る23人は平会委員となる。

 ラウール・カストロ議長は引退するが、共産党第1書記として影響力を維持する。後任には、現第1副議長のミゲル・ディアスカネル(共産党政治局員)が内定している。
 新しい第1副議長には、ブルーノ・ロドリゲス現外相(政治局員)や、共産党ハバナ支党第1書記らが有力視されている。

 議長は閣僚評議会議長(首相)と革命軍(FAR)最高司令官を兼ねる。だがディアスカネルが議長になった場合、最高司令官をラウール第1書記が維持し続ける可能性があると観測されている。

 4月16日は、故フィデル・カストロ前議長が首相だった1961年のこの日、キューバ革命の「社会主義革命的性格」を宣言した57周年記念日。
 フィデルは、CIAがキューバの空港3か所を15日空爆し、玖軍用機を破壊、キューバ人7人が死亡、約50人が負傷したのを受け、対米抵抗の意志を示すかのように「社会主義革命的性格」を宣言した。

 翌61年4月17日、ニカラグアから発信したCIA仕立ての反革命在米キューバ人1200人の部隊がキューバ南海岸コチーノス(豚)湾ラルガ浜とヒロン浜に上陸、カストロ体制打倒作戦を開始した。
 だが上陸を逸早く察知したフィデルはまず民兵隊で防衛線を張り、次いで革命軍を動員して対抗した。フィデルが最前線で指揮を執り、19日までに侵攻部隊の一部を制圧、大多数を捕虜にした。
 フィデルは「米帝軍事作戦に対するラ米側の勝利」と謳い、「プラヤ・ヒロン(ヒロン浜)」は、栄光の勝利の代名詞となった。

 その栄光の19日に、新しい国家評議会議長が就任するわけだ。3年後の2021年のこの日は次回共産党大会の最終日となる。議長就任日をこの日に合わせたのは、将来的に議長と第1書記を一致させる狙いを持つ。 

 ベリーズ南部の領有権問題を国際司法裁判所に提訴するか否か。その是非問うグアテマラの国民投票で提訴支持が勝つ▼ベリーズは年末に国民投票実施か 

 グアテマラは、北の隣国ベリーズ(旧英領ホンジュラス)の南半分の領土約1万1000km2の領有権を主張してきた。この領有権問題をハーグの国際司法裁判所に提訴するか否かを問う国民投票が4月15日実施された。

 有権者は750万人。だが投票したのは23%強で、76%は棄権した。それでも提訴賛成が96%(約168万人)で、提訴を訴えるジミー・モラレス大統領の保守政権は勝利した。
 同大統領は、この国民投票に備え、直前の2日間リマで開催された第8回米州首脳会議を欠席した。だが内政の失政から外に目をそらすため領有権問題を持ち出したとの批判もある。危険率の高さが有権者の関心の薄さを示している。

 この領有権問題は159年前の1859年に生じた。明治維新の翌年だ。グアテマラは英国と、ベリーズのカリブ海岸からグアテマラの首都グアテマラ市まで道路を建設する合意を結んだ。
 だがグアテマラは87年後の1946年、この合意を破棄した。道路が建設されなかったことを理由にしたが、合意に縛り付けられたままでは領有権を失いかねないとの懸念があったためだ。

 ここで、1859年の合意に至る歴史を見る必要がある。ベリーズのあるユカタン半島もグアテマラも、他の中米諸国もメキシコも1821年までは、スペイン領ヌエバ・エスパーニャ(新スペイン)だった。

 英国人は18世紀後半に現在のベリーズ北部に入植、スペインは1783年と1786年に英国人に木材開発権を認めた。その後、英国人入植地は増え、19世紀初頭のヌエバ・エスパーニャ独立戦争のさなか、入植地を南下させた。

 その南半分をグアテマラは、ヌエバ・エスパーニャから引き継いだとして、領有権を主張してきた。

 英領ホンジュラスは1981年独立し、英連邦の一員になった。グアテマラは承認を拒否していたが、1991年に独立を認めた。同年、ベリーズ南部の領有権問題のある地域とグアテマラの間に「仮の国境線」が引かれ、今日に至る。

 2008年、両国は領有権問題を高位の場で話し合い決着させることで合意。国民投票を経て双方が合意すれば、国際司法裁判所にかけることになった。
 この15日、まずグアテマラが国民投票を実施した。ベリーズは今年末に実施することを検討している。

 ラ米には、他に亜英間のマルビーナス(フォークランド)諸島、ベネズエラ・ガイアナ間のガイアナ西部エセキーボ地方、ボリビア・チリ間の太平洋岸領土、などの未解決の領有権問題がある。
 1982年4~6月、マルビーナス諸島の奪回を目指して亜国軍が諸島上陸作戦を決行、戦争となったのは記憶に新しい。勝った英国のサッチャー政権は長期政権を謳歌。敗れた亜國軍政は翌年崩壊、民政移管がなった。
 私は、この戦争を亜国側から取材した。英国側で取材する同僚らと戦争報道で競い合ったものだ。その中心には、かつて諸島を領有していた亜国と、亜国から諸島を奪い実効支配していた英国のどちらに正義があるのか、という視座があった。

2018年4月16日月曜日

 「米州人民サミット」が宣言で、米国の対メキシコ政策やシリア爆撃を糾弾▼11月末のG20首脳会議時にブエノスアイレスでの次期会合を呼び掛け▼べネズエラの首都の1地区で独自通貨が流通開始

  第8回米州首脳会議と並行してリマ市で4月10~14日開かれた「米州人民サミット」は14日、「最終宣言」を発表した。この会合は、ペルーの「全国闘争統一司令部」(CNUL)、およびペルー労働者総連合(CGTP)が主催した。

  宣言の要旨は次の通り。

 第8回米州首脳会議は、米州域内での覇権奪回を狙う新保守主義の意志の表れだった。人民サミットは、新自由主義に対抗するため社会的連帯を促進する目的を持つ。我々は:

 労働者の権利と労働条件を守る。

 社会福祉予算を減らす緊縮財政政策を糾弾する。

 年金制度の民営化に反対する。

 多国籍大企業に利し人民の利益に反する自由貿易協定と投資保護条約を糾弾。

 実際に耕作する先住民族と農民の土地権を守る。

 男性優位主義に反対し、性の違いに拘わらぬ平等主義確立のために闘う。

 社会的抗議活動を犯罪として扱うのを糾弾。

 資源抽出経済を糾弾。 

 資本と組んで愚民化を謀る宗教的原理主義と闘う。

 ラ米の進歩主義政治家を迫害するために司法制度を用いるのを糾弾。

 元伯大統領ルーラに連帯。マルティ、チェ・ゲバラ、フィデル、ラウール、英雄的キューバ人、栄光のキューバ革命に連帯。米国による対玖経済封鎖の破棄とグアンタナモ基地の返還を要求。

 べネズエラ・ボリバリアーナ革命に連帯。ニコラース・マドゥーロ大統領を支持。

 エボ・モラレス大統領率いるボリビア革命に連帯。ボリビアの「海への出口」問題の平和解決をボリビアとチリの人民に要請。

 エクアドールのラファエル・コレア前大統領が為した市民革命の成果の回復を求める。

 人種主義・外国人排斥主義者トランプ米大統領の国境の壁建設など対墨政策を糾弾。

 ハイチで疫病をはやらせ強姦し殺人を犯した国連派遣部隊を糾弾。

 長期刑に服したプエルト・リコのオスカル・ペレス=リベラに挨拶を送る。

 ホンジュラスの活動家ベルタ・カセレス殺害事件断罪を要求。不正選挙で「再選」されたホセ・エルナンデス大統領を糾弾。

 コロンビア和平とELNの和平交渉を支持。囚われている元FARC幹部の釈放を要求。人権活動家300人の最近の暗殺を糾弾、コロンビア政府に活動家保護を要求。

 マクリ大統領による新自由主義の強襲に抵抗する亜國人民に連帯。政治囚ミラグロ・サラ解放を要求。2017年に拉致され殺害された人道犯罪証人サンティアゴ・マルドナードのことを忘れない。

 米帝によるシリア爆撃を糾弾。域内各国の米大使館への抗議行動を呼び掛け。

 ブエノスアイレスで11月30日~12月1日開かれるG20首脳会議時に同市で再開しよう。「反G20女性フォーラム」開催を呼び掛け。

 本人民サミットを連帯確認、抵抗経験交換、闘争議題調整、進歩主義・左翼の人民・社会運動の統合化を図る場として認識する。

▼カラカスの中心区で地域通貨流通開始
  
 ベネズエラ首都カラカス市の中心リベルタドール地区のエリカ・ファリーアス区長は4月15日、同区内エル・パライソ地区の公設市場で、地域通貨「エル・カリーベ」(カリブ海)紙幣を流通させた。
 額面は5,10、20、50、100の5種類。1カリーベは、通貨1000ボリーバルに相当する。
 これを使用できるのは、同区、政権党PSUV、CLAP(供給・生産地区委員会)、漁業・農業省、食糧・都市農業省が認可する公設市場のみ。
 この日、エル・パライソ公設市場では、野菜、果物、鶏肉、牛肉、魚、米、玉蜀黍粉、清掃具、衛生用品などが販売された。
 エル・カリーベには、通貨ボリーバルの国外持ち出し取締り、超インフレ抑制、ボリーバル紙幣の札束携帯の簡素化に役立つと、ファリーアス区長は語っている。 

2018年4月15日日曜日

 米州首脳会議が「リマ公約」採択し閉会▼米副大統領にキューバ外相が厳しく反応▼ベネズエラはシリア爆撃を「犯罪行為」と糾弾 

 リマでの第8回米州首脳会議は4月14日、「民主施政」を求め「反腐敗」を強調する「リマ公約」を採択して閉会した。

 閉会演説でマルティン・ビスカラ秘大統領は、「腐敗への寛容度零で臨む。ベネズエラには公明選挙を望む」と述べた。
 ペルーのPPクチンスキ前大統領は3月、明るみに出ていた過去の腐敗に堪えきれず辞任。副大統領だったビスカラが昇格した。ベネズエラでは5月20日、大統領選挙が実施される。

 会議2日目(最終日)のこの日、各首脳が発言。マイク・ペンス米副大統領はキューバとベネズエラを「独裁」と呼び、5月の大統領選挙の結果を「米国は認めない」と述べた。亜国のマウリシオ・マクリ大統領も、ベネズエラ選挙の結果を認めないと語った。

 これに対し、キューバのブルーノ・ロドリゲス外相は「ペンス氏は誤った情報に基づき現実を無視し、真実を隠している」と指摘。「この会議は一体どんな<民主>を話し合っているのか。リンカーンやマーティン・ルーサー・キングの民主か。それとも米現政権の超保守主義の<民主>か」と問いかけた。

 そのうえで、「米国が人権問題やキューバの民族自決に関心があるならば、直ちに経済封鎖を解除すべきだ」と反駁した。
 さらに、米州右翼潮流の大番頭であるルイス・アルマグロ米州諸国機構(OEA)事務総長を「米政府の道具」と扱き下ろし、身柄を拘禁されたルーラ元伯大統領について「政治囚だ。直ちに解放を」と訴えた。
 19日のキューバ国家評議会議長の交代に関しては、「若い世代は(19日の)ヒロン浜勝利記念日を(同時に)祝う」と述べた。

   ボリビアのエボ・モラレス大統領は「米国はベネズエラに対し一方的制裁を科し、侵略の脅しをかけている」と指摘。「米国は平和と民主にとって世界最悪の敵だ」と糾弾した。

 一方、会議の枠外では、ベネズエラに厳しい態度をとっている「リマグループ」(グリオ)を中心とする16か国が、ベネズエラに公平な選挙を要求する「ベネズエラ宣言」をまとめ、発表した。
 同16か国は、亜伯パラグアイ智秘コロンビア巴CRホンジュラスG国墨加米バハマ・ガイアナ・セントルシーア。

 ベネズエラのニコラース・マドゥーロ大統領は会議出席を拒まれ「欠席裁判」に遭ったうえ、場外でも批判された。
 マドゥーロ大統領は14日カラカスで支持者の大群衆を前に、「リマ会議は完全に失敗した」と強調。併せて、米英仏3国軍によるシリア爆撃を「犯罪行為」と糾弾した。
 5月の大統領選挙については、「強国に支援された選挙妨害の動きがある。近く確固たる証拠を示す」と述べた。
 ベネズエラ原油は13日現在1バレル=61ドル強。原油価格の推移が、政権の勢いに反映される。

 またホルヘ・アレアサ外相は、「(ラ米の)右翼諸政府は自国内のみじめな失敗を覆い隠すためベネズエラをやり玉に挙げている」と批判した。
 マドゥーロの腹心であるホルヘ・ロドリゲス通信・情報相は、「(内外の)反ベネズエラ虚偽報道に対抗する」と語った。

 このほかの動きでは、ペンス副大統領は、次回2021年の第9回首脳会議を米国内で開催したいと表明した。これに対しては、「トランプ大統領が欠席し、ラ米・カリブ(LAC)地域への無関心を露わにしたばかりなのに何を言うか」との声がLACから出ている。
 ラ米メディアには、「モンロー教義を新たに浸透させようという狙いがあるのでは」との指摘がある。モンロー教義は2023年、宣言200周年を迎える。

 ペンスまた、加墨両国とのNAFTA(TLCAN)合意は近い、と述べた。カナダのトゥルドー首相はマクリ亜大統領と会談、6月ケベックでのG7首脳会議にオブザーバーとして出席するようマクリを招待した。マクリはG20議長国。

2018年4月14日土曜日

 第8回米州首脳会議が開会▼米・べネズエラ大統領、キューバ議長ら欠席▼エクアドール大統領は記者ら3人拉致殺害事件対処のため急遽帰国

 ペルーの首都リマで4月13日、第8回米州首脳会議が開会した。議長を務めるマルティン・ビスカラ秘大統領は開会演説で、ラ米諸国に蔓延する収賄など腐敗に触れ、「世界銀行統計によれば、米州全体で毎年、全GDPの2%が腐敗によって失われている」と指摘。腐敗撲滅の必要性を強調した。

 開会式は国立大劇場で催された。会議は14日、首脳らが発言する全体会議を開き、最終宣言を採択して閉会する予定。
 首脳会議に先立ち市内では、「市民社会」、「青年」、「企業家」の各フォロ(フォーラム)が開かれた。また並行して、米州の左翼・進歩主義陣営の「人民サミット」が開かれている。人民サミットは13日、ベネズエラとキューバへの連帯を表明した。

 今首脳会議は、腐敗問題と並んで「ベネズエラ問題」が中心議題と目されている。だが同国のニコラース・マドゥーロ大統領は、ビスカラ大統領から招待を取り消されて欠席。13日はカラカスで、反チャベス大統領クーデター未遂事件16周年記念日の行事に出席した。

 反マドゥーロで攻勢をかけてきたドナルド・トランプ米大統領は「シリア情勢」を理由に欠席。マイク・ペンス副大統領が代理出席した。そのペンスは首脳会議開会式でビスカラ大統領に挨拶しただけで、宿舎に引き返した。米軍によるシリア攻撃に関しホワイトハウスと緊急連絡をとる必要が生じたため。

 言わば、トランプ、マドゥーロの「主人公」2人が欠席し、拍子抜けした会議となった。この首脳会議は米州諸国機構(OEA)加盟34か国の会合だが、求められて前回出席したOEA外のキューバのラウール・カストロ国家評議会議長は今回は欠席。ブルーノ・ロドリゲス外相が代理出席してる。
 ニカラグアのダニエル・オルテガ、エル・サルバドールのサルバドール・サンチェス=セレーンの両大統領も欠席。22日に大統領選挙のあるパラグアイのオラシオ・カルテス大統領も出席しなかった。

 ラウール欠席は、19日の議長交代への準備に集中するためとされる。だが87歳と高齢であるのに加え、ペンスがリマで反体制キューバ人活動家らと会合するなど反玖言動が目立っているのも関係しているはずだ。
 また、最大の域内同盟国で原油供給国であるベネズエラのマドゥーロ大統領が会議から締め出された以上、ラウールとしては出席するのは得策でないとの判断も働いただろう。

 ボリビアのエボ・モラレス大統領は首脳会議開会に先立つ「企業家フォロ」で演説、資本主義・新自由主義は人類の生存を危うくすると警鐘を鳴らした。そのうえで、国家、民間、協同組合、共同体が参加するボリビア型モデルは多数者に有益で、年率5%の経済成長を達成している、と自画自賛した。
 それによると、エボが政権に就いた2006年に95憶ドルにすぎなかったGDPは17年には278憶ドルと、3倍に膨らんだ。その間、公共投資は6億3900万ドルから80憶ドル12倍に拡大した。また貧困率は41・2%から17・9%に下がった。

 メキシコのエンリケ・ペニャ=ニエト大統領は13日リマで、ジャスティン・トゥルドー加首相と、北米自由貿易協定(TLCAN・NAFTA)の対米交渉をめぐり会談した。同大統領はペンスから申し出のあった14日の会談を受け入れた。

▼エクアドール事件
 一方、エクアドール(赤道国)のレニーン・モレーノ大統領は12日、リマからキトに急遽戻り、直面していた重大事件に対応した。
 エクアドールの最有力紙「エル・コメルシオ」の取材班3人がコロンビア国境地帯で3月26日拉致され、4月12日、殺害されていた事実が確認されたのだ。モレーノ大統領は13日キトで記者会見し、同日から16日まで4日間の国喪を宣言した。

 殺されたのはハビエル・オルテガ記者(32)、パウール・リバス写真記者(45)、運転手エフライーン・セガーラ(60)。国境地帯のエスメラルダ県で取材中、コロンビアゲリラFARCの残党「オリバー・̪シニステラ戦線」に拉致、拘禁された。
 「グアチョ」という頭目が率いる同戦線は、FARCの大多数が応じた和平を蹴り、麻薬取引で生き延びてきたとされる。人質にした3人の解放条件に、エクアドールとコロンビアが結んでいる麻薬取引取締協定の破棄を求めていたという情報がある。

 モレーノ大統領は、「グアチョ」逮捕に繋がる情報の提供者に賞金10万ドルを与えると発表した。赤道国の通貨はパナマ、エル・サルバドール同様、米ドル。
 3人の死亡確認を受け、エクアドールとコロンビアの国軍は国境地帯に展開、「グアチョ」らの捜索に当たっている。国喪の対象には、先に同一味との戦闘で死んだ赤国軍兵士4人も含まれている。