2011年12月8日木曜日

コスタ・リカ大統領講演会

▽▼▽国賓として12月6日来日したコスタ・リカ(CR)のラウラ・チンチージャ大統領は8日午後、東京・青山の国連大学で、「平和と持続的開発ーコスタ・リカの経験」と題し、20分間講演した。その後、40分間、質疑応答に臨んだ。

    講演では、1948年の憲法で軍隊を廃止し、今日まで常備軍がないことを強調した。予算の軍費分は教育、保健など、人民の福利に回してきたと説明した。

    エネルギー問題については、電力の95%は水力をはじめとする再生可能エネルギーを使って発電しており、2015年には100%にすると述べた。火山が多く地熱発電もでき、太陽熱、風力、波力もたっぷりあると付言した。

    二酸化炭素を吸収する熱帯雨林の保護に努めており、この点では世界の優良5カ国に含まれている、と自賛した。続けて、日本は人口過密国なのに、国土の60%を森林として維持している、と称賛した。

    深刻なのは「人間絡みの問題だ」として、麻薬密売と組織犯罪を挙げた。

    「冬の日本に熱気を届けに来た」と、この初来日を形容し、講演を締めくくった。

    質疑応答では、麻薬問題に触れて、CRが世界最大の麻薬消費国・米国と、コカイン生産地域・南米アンデス諸国の中間の中米に位置することを挙げ、CRにも問題が及んでいることを認めた。だが、国際協力も得て、手遅れにならないよう対処すると語った。

    かつてCRは「中米のスイス」と呼ばれたが、この呼び方は今も適切かとの私の質問に対しては、「中米には内戦があり、さまざまな問題があったが、CRの平和は比較的保たれてきた」として、呼び方が必ずしも不適切ではないとの認識を示唆した。

    大統領は10日、京都から帰国の途に就く。

(2011年12月8日 伊高浩昭執筆)

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 【今日は、日本軍が真珠湾を攻撃した日米開戦70周年記念日。日本軍のアジア・太平洋地域侵略の延長線上で、行きつくところに行き着いた真珠湾急襲だった。その結果、日本各地の空爆、沖縄戦、広島・長崎への原爆投下を経て、9月、公式に敗戦に至った。日本は占領され、沖縄は27年間、米国の支配下に置かれた。沖縄は日本復帰後も、米国の軍事植民地になっている。CR大統領が、軍備廃止の話をしていた時、私の脳裏は脱線して、日米開戦日の記憶が遠くなったとの、ある種の感慨でいっぱいになっていた。】