2011年12月14日水曜日

CELACの源流はハイチに

☆★☆★☆12月3日カラカスで、ラ米・カリブ諸国共同体(CELAC=セラック)が創設されたが、その設立を決めた歴史的文書「カラカス宣言」 には、ハイチに関する一項が含まれている。重要であるうえ興味深いため、ここに紹介したい。

    「LAC(ラック=ラ米・カリブ)の解放者たちが200年以上前に辿った道は際立っているが、それは、トゥサン・ルヴェルチュールがLAC域内最初の独立国ハイチを1804年に誕生させるために切り開いた道である」

    「我々は同様に、アレクサンドル・ペチオン大統領が率いたハイチ共和国がシモン・ボリーバルに、今日LACとして知られる地域を独立させるため支援した史実を思い出す」

    「ペチオン大統領はかくして、LAC地域人民が連帯し統合するための基礎を築いた」

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    ハイチは世界初の黒人独立国にしてLAC最初の独立国だが、「米州の最貧国」、「世界の最貧国の一つ」、「失敗国家」などと呼ばれて、さげすまれている。

    だが、カラカス宣言の文言は、ハイチが果たした歴史的役割を過不足なく指摘している。CELAC創設を主導したベネズエラ大統領ウーゴ・チャベスは、崇拝する自国の英雄ボリーバルを通じて自分自身が「間接的にハイチに世話になった」という捉え方さえしている。

    この点のチャベスの史観は的確だ。

    「カラカス宣言」採択の場にいたハイチのミシェル・マルテリ大統領は、自国建国の父たちを讃える一項に、さぞかし誇らしい気持になったことだろう。

 【カナダのモントリオールに住むハイチ人作家ダニー・ラフェリエールの『帰還の謎』(2009年)、『ハイチ地震日記』(2011年)の訳書が今年9月末に藤原書店から刊行された。両書とも面白い。女流のエドゥウッジ・ダンティカと併せて、広く読まれることを願いたい。】

(2011年12月14日 伊高浩昭執筆)