2011年12月6日火曜日

「トゥーストラ機構」首脳会議

▼▽▼メキシコ、中米7カ国、ドミニカ共和国(RD)、コロンビアの10カ国で構成する「トゥーストラ対話・協和機構」(旧プエブラ・パナマ計画=PPP)の第8回首脳会議が12月5日、メキシコのユカタン州都メリダ市で開かれた。域外からチリとペルーが招待され、チリ大統領が出席した。

    この機構は、メソアメリカ(中部アメリカ=メキシコ南東部から中米地峡に至るマヤ文化圏とその周辺一帯の地域)の開発を目的に2001年発足したPPPを拡大させたもので、カリブ海のRDも加盟している。メキシコからは、ユカタン、チアパス、プエブラなど南東部9州が参加している。

    会議は、自動車道、電力・電機通信網、情報網、保健などを整備する「メソアメリカ統合・開発計画」の進捗状況を検証した。また、域内の出入国管理、税関、保健管理を統一基準で実施するための「国際物流のためのメソアメリカ方式」が発表された。

    サンサルバドールで11月22日調印された「メキシコ・中米自由貿易唯一条約」の重要性を謳う宣言も発表された。

    政治協議では、民主制度強化、域内治安強化、移民問題などが話し合われた。加盟国およびチリは、「組織犯罪と麻薬取引に関する共同宣言」を発表した。

          域内には、トゥーストラ機構の開発政策に危惧を抱く先住民族や農民が数多い。チアパス州の「サパティスタ民族解放軍(EZLN)」も、環境破壊と強者による搾取を必然的に招く開発主義に反対する立場からも、1994年元日に蜂起した。このような、機構の開発主義に反対する立場が首脳会議で取り上げられることはない。

(2011年12月6日 伊高浩昭執筆)