2012年1月30日月曜日

エクアドールでエロイ・アルファロ将軍惨死100周年式典

▼▼▼「自由主義革命」でエクアドールの近代化に努めたエロイ・アルファロ将軍(1842~1912)が、暴徒に惨殺されてから1月28日で100年が過ぎた。この日、太平洋岸の将軍の出身地モンテクリスティ(シウダー・アルファロ)で、ラファエル・コレア大統領と全閣僚が出席して記念式典が催された。

    自由主義者アルファロは1895年、キトを中心とするアンデス高地の保守勢力に対し戦いを挑んだ。この「自由主義革命」に勝って政権を掌握した将軍は、1897~1901年、1906~1911年の2期、大統領を務めた。

    任期中、自由主義憲法を制定し、電気と電話の導入、海岸地帯と高地を結ぶ鉄道の建設、教育とカトリックの分離などを推進した。このため保守派の敵が少なくなかった。

    2期目の末期、軍事クーデターで政権を追われ、国外に亡命する。だが国内の同志たちに促されて1912年に帰国したところ、政敵の政権に逮捕され、身柄をキトに送られて、同志6人とともに刑務所に入れられた。

    同年1月28日、7人は政権に扇動された暴徒によって刑務所から引き出され、惨殺された。死体は市内のエル・エヒード公園まで引きずられていき、その公園で焼かれた。この事件は「野蛮な焚火」という歴史用語で、人々に記憶されている。

    エクアドール史上最大の政治家との聞こえが高い。1983年には中産層出身の大学生らが「アルファロ・ビーベ、カラホ!(「どっこい、アルファロは生きている」、AVC=アベセ)」という都市ゲリラ組織を結成した。

    レオン・フェブレス=コルデロ大統領の圧政下(1984~88)で、AVCの活動は、断続的ながら激化した。だが幹部約40人が掃討され、1990年前後に活動を終えた。

    AVCは結成後間もない1983年8月、グアヤキル市立博物館からアルファロの剣を盗み去った。隣国コロンビアの都市ゲリラ「4月19日運動(M19)」がシモン・ボリーバルの剣を盗み去ったのに倣ったのだ。AVCは、「この国に本格的な変革政権が出現するまで剣は返還しない」との立場をとっていた。

    2006年、コレアが変革政権樹立を掲げて大統領選挙に出馬すると、AVCは社会運動組織として、コレア陣営に参加する。アルファロ没後100周年のこの日、AVCはアルファロの剣をコレア大統領の前で正式に返還した。

    コレアは記念演説で、「アルファロは我々の市民革命に閃きを与えつつ、かつてなかったほどに生きている。この国の人民に近代化をもたらし、尊厳と自信を与えてくれた。あなたは終生戦いつづけた。あなたを殺害した者たちは、今日、我々に対して陰謀を企てる者と同じ種類の輩だ。暗殺者たちは闇にまぎれて無処罰になった。アルファロよ、今日我々は、同じ敵を持つ光栄に浴している」と述べた。

    コレアは翌29日には、エル・エヒード公園を訪れた。