2012年8月19日日曜日

風雲急を告げるアサンジ亡命問題

☆ウィキリークス創設者ジュリアン・アサンジ氏(豪州人)は、英当局による逮捕およびスウェーデンへの身柄引き渡しを避けるため、6月19日からロンドンのエクアドール大使館に身を置き、8月16日、コレア・エクアドール政権から政治亡命を認められた。これを契機に英・エクアドール両政府間の関係は一気に緊張状態に陥った。アサンジは大使館滞在2カ月となる8月19日(本日)、声明を発表することにしている。

★ラファエル・コレア大統領は、英当局が警官を大使館内に侵入させてでもアサンジ氏を逮捕しかねない構えを見せているとし、「それを文書で警告された」と語ったと伝えられる。これに対し、英政府は「警告」を否定し、平和解決のためエクアドール政府と交渉中、と表明している。

☆コレアやアサンジが恐れているのは、「女性への性的暴行」を理由にアサンジの身柄引き渡しを要求しているスウェーデン政府が、ひとたび身柄を確保するや、その身柄を米国に引き渡す公算が大きいからだ。

★著名なスペイン人の人権派元判事で弁護士のバルタサル・ガルソン氏が、アサンジの主任弁護士になることが決まっている。

☆一方、エクアドールが加盟するラ米左翼諸国がつくる米州ボリバリアーナ同盟(ALBA=アルバ、8カ国)は8月18日、グアヤキル市で外相会議を開き、アサンジ亡命問題と英国の圧力に関する問題を討議する。次いで南米諸国連合(ウナスール、12カ国)も19日、同市で外相会議を開いて討議する。

★米州諸国機構(OEA=オエア)は8月24日ワシントンで、同じ問題で外相会議を開く。ALBAとウナスールのグアヤキル会議は、OEA会議に向けて共同戦線を張る目的を持つ。

☆米国、カナダ、TT(トゥリニダード・トバゴ)は「エクアドールと英国の2国間問題であり、OEAは無関係」と主張して、OEA外相会議開催に反対した。だがALBAとウナスールは、アサンジの身柄引き渡しを最も強く求めているのは、ウィキリークスに膨大な数の外交機密情報を暴露された米政府だとにらんでおり、アサンジの人権とエクアドール政府の立場を守るため、攻勢に出ているのだ。

★アサンジの母国の豪州政府は、アサンジの身柄が米国に引き渡される場合に備えて対策を既に講じている、と伝えられる。