2012年10月16日火曜日

キューバが出国許可制度を廃止


☆★☆★☆キューバ政府は10月16日、移民法(出入国法)改正を発表した。改正法は来年1月14日発効する。従来、非公用出国希望者にとって足枷になっていた「出国許可」制度が廃止された。

☆これまで公用以外の出国希望者は、国外からの招待状、職場離脱許可書、出国許可書をそろえなければならなかった。長い時間がかかるうえ、手続きに350ドルもの経費がかかった。1月からはパスポートと、旅行先の国の査証が必要な場合は査証を取得すれば、出国できることになる。

☆公用でない外国滞在期間は、従来の11カ月から24カ月に延長される。この期間内に一度帰国し、国外滞在期間の延長手続きをしないと、キューバ在留資格は失われる。

☆政府は人材流出を避けるため、高度医療技術保持者ら重要な専門職の出国は規制する。治安・国防上の理由からも関係者の出国は制限される。徴兵など国家義務を遂行していない者も出国できない。

☆かつては革命政権の思想や政策を毛嫌いして出国する「政治亡命者」が多かったが、80年代ごろから、よりよい消費生活を求める「経済難民」が増えている。去年だけでも、国外滞在11カ月の期限切れ後も帰国せず居住権を失った者は3万8000人いた。

☆出国条件の大幅緩和で当然、脱国者が急増することが予想される。だが政府は、若い世代には、2年ごとに帰国して滞在延長手続きをして居住権を維持しつつ、故国との関係を断ち切らない者が少なくないと見ているようだ。

☆政府は、出国者が多ければ、それが脱国者になったとしても、キューバの家族らに送金してくると期待している。その額は膨大で、それが換金制度を通じて国庫収入になるため、この<利点>は無視できない

☆ラウール・カストロ議長の政府は、1962年10月のキューバ核ミサイル危機の50周年の節目に合わせて、キューバでは画期的な移民法改正に踏み切った。