2015年1月19日月曜日

「アルゼンチン・イラン闇取引事件」の担当検事が急死

 アルヘンティーナ警察は1月19日、アルベルト・ニースマン検事(51)が18日夜、ブエノスアイレス(BA)市内の自宅で変死体で発見された、と発表した。遺体の近くには、本人のものと見られる拳銃があった、という。遺体は解剖される。

 同検事は渦中の人だった。1994年7月18日、BA市内にある亜国イスラエル相互協会(AMIA)が爆破されユダヤ系市民85人が死亡、約300人が負傷した事件の捜査を担当していた。

 ニースマン検事は、事件に関連し14日、クリスティーナ・フェルナンデス=デ・キルチネル(CFK)大統領、エクトル・ティメルマン外相ら5人の捜査を要求した。5人が2012年、事件の実行者であるイラン人逃亡者を処罰しない代わりに、亜国産牛肉、穀物などを輸出し、イラン原油を輸入する闇取引をイラン政府との間で行なった、という理由からだ。

 検事はまた、大統領らの「不正蓄財」の調査も求めていた。

 同検事は、通話を傍受した膨大な記録を証拠としていた。19日、国会下院刑法委員会で証言することになっていた。その矢先の死であり、検事の友人は、検事は脅迫されている言っていた、と語っている。

 ティメルマン外相は14日以後、検事の主張を否定した。CFK大統領は、検事の死に「故人の死」として哀悼の意を表したが、嫌疑については否定した。
 
19日は昼から夜にかけ、首都の大統領政庁前の五月広場、7月9日大通りのオベリスク周辺をはじめ全国各地の都市で、死んだ検事に連帯し、死因とアミア事件絡みの秘密取引の真相解明を訴えた。