2015年2月7日土曜日

チリで1973年に農民を殺した元将軍が逮捕さる

 チレ警察は2月5日、元陸軍副司令官、元軍事評議会員、元任命上院議員のサンティアゴ・シンクレア退役将軍(87)を殺人命令容疑で逮捕した。軍事クーデター直後の1973年10月、バルディビアで農民12人が軍政当局に殺害された事件の主犯とされている。

 併せて、この事件の実行犯の元軍人3人も逮捕された。チレ政府は、軍政下で起きた人道犯罪を追及し続けている。

 ピノチェー軍政は、全国各地で捕えた左翼、労働者、知識人、芸術家、農民らを選別的に殺害する「移動殺害部隊」を展開、この事件の農民12人も殺害された。12人は森林保護局で働いていたが、「革命的左翼運動」(MIR)に所属していた。

 クーデター翌日の9月12日、バルディビアの治安警備隊(カラビネロス)駐屯地に赴き、クーデターに加担しないよう訴え、戦うため武器を渡してほしいと要求、逮捕され、10月始め殺害された。陸軍バルディビア連帯司令官だったシンクレアらが殺害を命じた。

 シンクレアの他に共犯者2人がいた。いずれも退役将軍だが、一人は既に死亡、他の一人は精神障害のため不逮捕処分となっている。

[高裁判断により、高齢のシンクレアら4人は2月7日、一人20万ペソ(約320ドル)を支払って保釈された。]