2015年8月31日月曜日

ベネズエラ大統領が訪越、次いで中国の戦勝式典出席へ

 ベネスエラのニコラース・マドゥーロ大統領は8月30日、ハノイに到着した。初のヴェトナム訪問で、31日、最高指導者らと会談し、経済協力協定を結ぶ。

 マドゥーロ大統領はその後、訪中し、対日戦勝70周年記念行事に出席する。中国首脳との会談では、資金援助を要請すると伝えられる。

 別件だが30日、ベネスエラ救援機は、ハリケーン「エリカ」に27日見舞われたドミニカの首都ロゾーにテント、薬品、食品など救援物資を届けた。引き続き空路で救援物資を運ぶとともに、海軍艦船で飲料水、燃料などを届けることにしている。

 ベネスエラは、盟主を務める米州ボリバリアーナ同盟(ALBA)として援助している。ドミニカはALBA加盟国。同国ではハリケーンで死者27人、不明者30人が出ている。建造物や道路の被害も、小さな島国にとっては甚大な規模だ。

 一方、コロンビア国境閉鎖後、ベネスエラ在住の千数百人のコロンビア人がコロンビアに放逐されたが、コロンビアのマリーア・オルギン外相は30日、国境のククタ市を視察し、国外退去によりベネスエラに残された配偶者、子供などベネスエラ国籍の家族にコロンビア国籍を与えると表明した。彼らは希望すれば、コロンビアに移住し、家族とともに暮らすことが可能になる。

ペルー次期大統領最有力候補は依然ケイコ・フジモリ

 ペルーのラ・レプーブリカ紙は8月30日、次期大統領候補支持率調査の結果を掲載した。8月中旬実施の世論調査に基づくもので、1位は、「人民勢力」(FP)代表、ケイコ・フジモリの32%だった。

 2位は、元経済相ペドロ=パブロ・クチンスキ(PPK)の13%。3位は前大統領アラン・ガルシア6%、4位は元大統領アレハンドロ・トレード4%。他の数人の候補は3%以下だった。

 ケイコは農村部で33%、都市部で32%の支持を集めている。PPKは同じく7%、15%だった。

 また「絶対に投票したくない候補」は、ガルシア68%、PPK43%、ケイコ41%で、ケイコの人気が高いことを示した。

 56%は、ケイコ、PPK、ガルシアの中から次期大統領が出る、と見ている。

 ケイコは、殺人命令罪で禁錮刑に服しているアルベルト・フジモリ元大統領の長女。前回の大統領選挙決選で、オヤンタ・ウマーラ現大統領に敗れた。最有力候補にのし上がっているため、ケイコ叩きが激化しつつある。

2015年8月30日日曜日

ルーラ前ブラジル大統領が政治第一線への復帰を表明

 ブラジルのルイス=イナシオ・ルーラ=ダ・シルヴァ前大統領は8月28日、2018年実施の次期大統領選挙に出馬する用意があると表明した。労働者党(PT)政権を絶やさないためだと、理由を述べた。

 ルーラは次いで29日、サンパウロ州サンベルナルドドカンポ市での集会で、来賓のホセ・ムヒーカ前ウルグアイ大統領と共に演壇に立ち、「ヂウマ・ルセフ現大統領を守るため、国政の第一線に復帰する」と意思表示した。

 2期目にあるルセフ大統領は、経済低迷や、国営石油会社ペトロブラス絡みの大型汚職事件に関し、窮地に陥っている。

 ルーラは第一線復帰について、大統領2期8年の務めを終えてからの5年間に得た教訓として、「鳥は動かなければ殺される」と指摘。「再び飛ぶのは難しいが、また飛ぶことにした」と語った。

米州人権委がメキシコの学生失踪事件調査を2カ月延長

 メヒコの教員養成学校生43人強制失踪事件を調査してきた米州人権委員会(CIDH)は8月28日、同委専門家派遣団のメヒコでの活動を11月2日まで続けると発表した。

 昨年11月のメヒコ政府との合意に基づき活動してきた派遣団は9月2日に活動期限が切れることになっていたが、政府との合意で2ヶ月間延長された。

 派遣団は、事件が起きたゲレロ州イグアラ市に駐屯する陸軍第27大隊の兵士26人からの直接事情聴取が終わっていない、と強調している。政府が調節聴取を認めないためだ。

 国軍兵士が何らかの形で強制失踪事件に関与していたとすれば、連邦政府の直接責任が問われることになる。 

2015年8月29日土曜日

ペルー・クスコ市がケチュア語でラ米文学叢書刊行へ

 ペルー・クスコ市のクスコ文化拡散局(DDCC)は8月28日、「ケチュア語訳ラ米古典文学叢書」を出版すると発表、まず自国のマリオ・バルガス=ジョサとコロンビアのガブリエル・ガルシア=マルケスの両ノーベル文学賞作家の作品の訳書を11月に刊行すると明らかにした。作品名は伏せられている。

 次いで、亜国人作家アドルフォ・ビオイ=カサレス、ウルグアイ人フアン=カルロス・オネッティ、ブラジル人女流クラリス・リズペクトールの作品も翻訳する予定。

 DDCC広報は、叢書出版によりケチュア語の価値が再評価され、「ケチュア語を話すのは恥だ」という考え方がなくなるのを期待する、と表明している。

 すでに『ラ・マンチャの郷士キホーテ(ドン・キホーテ)』がケチュア語に訳されている。ケチュア語とスペイン語の対訳辞書もある。

 ペルーでは、人口2580万人のうち、330万人がケチュア語を話すとされている。クスコは「インカ帝国」の首都だった。

ベネズエラがコロンビア国境閉鎖区間を拡大

 ベネスエラのニコラース・マドゥーロ大統領は8月28日、北部コロンビア国境の閉鎖区間をさらに増やした、と発表した。コロンビア人武装集団の取締りが主目的だが、不法滞在者と密輸の摘発も実施している。

 すでにコロンビア人約2000人がコロンビアに追放された。自発的に他の3000人程度がコロンビアに戻ったとの情報もある。

 両国外相は26日コロンビアのカルタヘーナで会合し、国境問題を話し合った。米州諸国機構(OEA)は31日、ワシントンの本部で大使会議を開き、同問題を話し合う。

 マドゥーロ大統領は28日、コロンビアのJM・サントス大統領と話し合う用意がある、と述べた。

 マドゥーロは29日、資金調達のため中越両国歴訪に出発する。ベネスエラの財政は、原油価格が1b=40米ドル台と低迷していることなどから苦境にある。

2015年8月28日金曜日

米市民の58%がキューバとの国交再開に賛成

 米CBS放送は8月27日、7月20日復交した米玖関係をめぐる世論調査結果を発表した。それによると、米市民の58%が対玖国交再開に賛成、24%が反対している。

 民主党員の72%、無党派の55%が賛成だが、共和党員の賛成は44%だった。

 また米国人の対玖自由渡航解禁については、81%が賛成した。民主党員90%、無党派80%、共和党員71%だった。

 解禁されたら訪玖するかとの問いには、48%が訪玖すると回答した。

 クーバ側統計によると、米玖国交正常化合意後の今年1~7月、クーバ系米国人16万4000人と一般米国人8万9000人が訪玖した。一般米国人の訪玖は前年同期比54%増し。

 一方、パナマのフアン=カルロス・バレーラ大統領は27日、クーバを9月9日訪問する、と発表した。9月下旬にはローマ法王フランシスコが玖米両国を訪問する。

コロンビアが南米諸国連合に外相会議開催要請へ

 コロンビアのJM・サントス大統領は8月27日、ベネスエラ政府が北部国境を閉鎖し、コロンビア人を送還していることに関し、カラカス駐在のコロンビア大使を召還し事実関係を確認したうえで、南米諸国連合(ウナスール)に緊急外相会議招集を要請するよう、マリーア・オルギン外相に命じた。また米州諸国機構(OEA)にも議題として取り上げるよう要請することを指示した。

 大統領は国境地帯のククタ市で、追放されてきたコロンビア人たちと既に会合し、生活支援を約束している。

 ベネスエラは、コロンビア人武装集団や密輸を取り締まるため、北部国境を60日間の「異例事態」(非常事態)を発動、国境を閉鎖している。

グアテマラで大統領辞任を求める全国スト実施さる

 グアテマラで8月27日、税関腐敗事件で起訴されているオットー・ペレス=モリーナ大統領の即時辞任を求める全国ストライキが展開された。少なくとも計3万人が参加したと推計されている。休業した商店や休校した学校もあった。

 大統領は辞任を拒否している。

 首都グアテマラ市旧市街の中心部にある文化宮殿(旧大統領政庁)前の憲法広場一帯は若者らの大群衆で埋まった。第二の都市ケツァルテナンゴなど各地でもデモや集会があった。財界も全国ストを支持し、大統領に辞任を求めている。

 国会は27日、大統領の不逮捕特権を剥奪すべき正当な理由があるか否かを審議する5人委員会をくじ引きで選んだ。野党議員3、与党2で構成されている。同委の60日以内の勧告を受けて国会は本会議で、不逮捕特権剥奪の是非を問う採決を行なうことになる。だが同委が退陣を勧告し、大統領が辞めない場合は、本会議は弾劾審議に入ることになる。

 民主深化、腐敗取締、政治透明化のための活動をしている民間団体「市民行動」(AC)は27日、アレハンドロ・マルドナード副大統領に対し、大統領に辞任を働きかけるよう要請した。副大統領は前任者が同じ汚職事件に関与し辞任した5月、国会の指名で就任した。大統領が辞任すれば、来年1月14日まで、暫定大統領となるため、立場は複雑だ。

 9月6日には次期大統領選挙が実施されるが、大統領起訴に至った一大汚職事件は、大統領候補たちに「汚職してはならない」という強い教訓を与えたはずだ。
 
 
 

2015年8月27日木曜日

メキシコ学生43人強制失踪事件から11カ月

 メヒコの教員養成学校生43人が昨年9月26日、ゲレロ州イグアラ市で強制失踪させられてから11カ月経った8月26日、家族、学生、支援団体の人々はメヒコ市中心部の憲法広場(ソカロ)まで市内を行進した。

 一行は市内にある各国大使館、国際外交機関支部などを回り、事件解明への支持を訴えた。特にメヒコ政府が、事件の一部に関与した可能性のあるイグアラ市駐屯陸軍大隊への直接調査を拒否していることに関し、各国がメヒコ政府に圧力をかけるよう求めた、と伝えられる。

 事件1周年の9月26日、ローマ法王フランシスコが米国のフィラデルフィア市で信者との集会を開く。失踪した43人の家族らは同地に行き、法王に事件解決への仲介を求めることにしている。  

2015年8月26日水曜日

グアテマラ元軍政首班リオス=モントの裁判は1月再開へ

 グアテマラ法廷は8月25日、元軍政独裁者エフライン・リオス=モント(89)の人道犯罪裁判を来年1月11日再開する、と発表した。被告は政権にあった1982~83年に先住民イシレス人1771人の虐殺命令責任を問われている。

 法廷は2013年5月10日、被告に禁錮80年の実刑判決を下したが、最高裁は、裁判手続きに不備があったとする弁護側の主張を認め、判決を無効とし、裁判のやり直しを命じた。

 その結果、ことし1月5日開廷されたが、弁護側が裁判官を忌避し閉廷。次いで7月23日開廷したが、弁護側は被告の痴呆症を理由に延期を求め、これが認められた。被告は8月4~11日、病院で精密検査を受け、痴呆症と診断された。

 これを受けて法廷は、1月の裁判は被告欠席、弁護団、検察、被害者遺族だけが法廷内に入ることを決めた。さらに、被告は有罪判決が出ても収監されないことが決まった。

 また、2013年の裁判で「上官の命令を受け実行したため無罪」とされた元諜報機関長官ホセ・ロドリゲス被告も、虐殺実行で再び裁かれることになった。

 一方、検察庁は25日、大規模な税関絡みの贈収賄事件の頭目格とされる前副大統領ロサーナ・バルデッティ被告の初公判で冒頭陳述し、被告は2014年5月8日から今年4月16日まで事件に関与した、と指摘した。

 この事件ではオットー・ペレス=モリーナ大統領(退役将軍)も起訴されており、国会での不逮捕特権剥奪による裁判か辞任かの瀬戸際に立たされている。

メキシコ市の地下鉄で過去4年半に115人が自殺

 メヒコ検察庁は8月25日、首都メヒコ市の地下鉄で2010~15年7月に計115人が自殺した、と発表した。線路に飛び込み電車に轢かれる自殺で、男84人、女31人だった。

 自殺者の年齢層は31~59歳が最も多く、次いで18~30歳だった。

2015年8月25日火曜日

ベネズエラ大統領が「米州諸国機構は不要」と公言

 ベネスエラのニコラース・マドゥーロ大統領は8月24日内外記者団と会見し、米州諸国機構(OEA)をなくし、エクアドールのラファエル・コレア大統領が言うように、一つの政治会合に変えるべきだ、と述べた。

 OEAは12月6日実施予定のベネスエラ国会議員選挙への監視団派遣に執着しているが、マドゥーロはこれを受け入れていない。今回の発言は、OEAに対する不快感の表れで、「OEAは亡霊だ、死んでおり立ち上がれない」とも揶揄した。

 ワシントンに本部を置くOEAは東西冷戦時代、フィデル・カストロらから「米国のラ米植民地省」と指摘された。2011年にラ米・カリブ諸国共同体(CELAC=セラック)が発足し、ベネスエラ、クーバ、ボリビア、エクアドールなどラ米左翼諸国にはOEA不要論が強い。

 マドゥーロはまた、コロンビア国境地帯のタチラ市内で、コロンビア人武装一味10人を逮捕した、と明らかにした。一味は19日、ベネスエラ軍の巡視隊を攻撃し、兵士3人らを負傷させた。

ブラジル政府が財政赤字削減で省庁削減を検討

 ブラジルのネルソン・バルボーサ企画相は8月24日、財政赤字削減のため、39ある省を10減らし、さらに庁など政府機関を整理することを検討中、と述べた。

 同国の国内総生産は今年1・49%縮小する見通しだ。

 ルセフ政権は今年を、新たな経済成長のための変化と調整の年、と位置付けている。

ボリビア南部にガス抽出工場完成

 ボリビア南端のタリーハ州ヤクイバ市に8月24日、石油からガスなどを抽出するための「グランチャコ液体分離工場」が完成した。開場式にはエボ・モラレス大統領、パラグアイのオラシオ・カルテス大統領、両国閣僚らが出席した。

 工場は、液化ガス、ガソリン、エタノール、イソペンタンを抽出。ガスは主にパラグアイに輸出される。

 モラレス大統領は開場式の演説で、「これは資本主義、新自由主義と闘うボリビア人民の勝利だ」と述べた。

 両大統領立ち合いのもとで、両国閣僚はエネルギー協力協定に調印した。

2015年8月24日月曜日

ハイチで「カリブ芸術祭」始まる

 アイチ(ハイチ)で8月21日、第12回カリブ芸術祭(カリフェスタ2015)が10日間の日程で始まった。首都ポルトープランスでの開会式では、ミシェル・マルテリ同国大統領、カリブ共同体(カリコム)事務局長、バルバドス首相(カリコム輪番制議長)が挨拶した。

 2日目の22日にはカパイシエン市で、アイチの奴隷解放蜂起224周年を記念する式典が挙行され、アイチ国立バレエ団が記念公演した。アイチは蜂起に始まる対仏独立戦争に勝ち、1804年、世界最初の黒人独立国となった。

 中心的行事は25、26両日開かれるシンポジウム「カリブ 一つの集団的記憶」で、6部会に分かれて、米国によるアイチ占領、カリコム結成など、過去から現在に至る主題を話し合う。

 また植民地時代、奴隷解放、独立、その後の歴史を描く「記憶共有展」も開かれる。

 この芸術祭にはアイチおよび、カリブ英連邦12カ国、スリナム、クーバ、メヒコ、米国、カナダの計18カ国と、ケイマン、マルティニクなど、植民地5島が参加している。

ベネズエラ原油は先週、1b=39・62米ドル

 ベネスエラ原油の国際価格は8月17~21日、平均1b=39・62米ドルだった。石油省が21日発表した。6月初めには56・73ドルだった。

 石油省は、中国と日本の経済の先行き不安、および、国際原油市場での供給過剰が価格低下の原因と見ている。

 ベネスエラは、外貨収入の96%を原油および石油関連商品で稼いでいる。昨秋からの価格低迷は経済に深刻な影響を及ぼしている。12月6日に国会議員選挙を控えるマドゥーロ政権は対応に苦慮している。

2015年8月23日日曜日

ニカラグア運河工事での土砂浚渫はパナマ運河の22倍

 パナマ運河庁(ACP)のホルヘ=ルイス・キハーノ長官は8月22日、昨年12月建設工事が始まったニカラグア運河について発言し、パナマ運河は1882年の工事開始から現在までに総計5億4900万m3の土砂を浚渫してきたが、ニカラグア運河建設には総計55億m3の土砂浚渫が必要になる、と指摘した。

 ニカラグア運河の施工社HKNDは2019年の竣工を目指しているが、向こう5年弱の間にこれだけの量の浚渫をするには、一日当たり310万m3の浚渫が必要になり、それはパナマ運河の日量14万m3の22倍、と述べた。

 ニカラグア運河は全長278km、幅230~520m、深さ30mを予定。HKNDは総工費400~500億ドルかかると推定しているが、キハーノ長官は700億ドルに達するのではないかと見ている。

ベネズエラがコロンビア国境に「異例事態」発動

 ベネスエラのニコラース・マドゥーロ大統領は8月21日、西端タチラ州のコロンビア国境100kmに「憲法異例事態」を60日間発動し、同国境区間にある出入国管理所を閉鎖すると発表した。

 同国境地帯のベネスエラ側で19日、コロンビア人武装勢力による待ち伏せでベネスエラの兵士3人と市民1人が銃撃され負傷する事件が起きた。ベネスエラ政府は同日、国境を3日間閉鎖する措置をとったが、21日「異例事態」に切り換えた。

 マドゥーロ大統領は、異例の措置をとったことについて、「憲法に基づき秩序、平和、共生を回復するため」と説明している。

 この国境は両国国境線2200kmの北端部分で、ベネスエラとコロンビア間の往来と物流の要所。密輸や麻薬取引も行われている。

 コロンビア政府は、話し合いによる国境再開を求めている。

グアテマラ財界が大統領に辞任を要求

 グアテマラ財界の中心団体「農業・商業・工業・金融協会連絡会議」(CACIF)は8月21日、大規模な汚職事件関与の嫌疑が濃厚になったオットー・ペレス=モリーナ大統領の即時辞任を要求した。

 同会議のホルヘ・ブリース会長は、「民主制度の維持、強化のため」辞任を求めると表明した。同大統領は財界優先の経済政策をとってきたが、その財界から辞任要求を突き付けられた形になった。

 22日には、経済相と教育相が、腐敗した政府には居られないとして辞任した。

 一方、首都グアテマラ市旧市街にある旧大統領政庁(現文化宮殿)前の広場には数千人の市民が結集し、大統領辞任を要求して気勢を挙げた。

2015年8月22日土曜日

グアテマラ大統領が汚職事件関与で起訴さる

 グアテマラ検察庁は8月21日、オットー・ペレス=モリーナ大統領を、「ラ・リネア」と呼ばれる税関絡みの大規模汚職事件に関与したとして起訴、予審開廷を要請した。同日、同じ容疑で起訴されていたロサーナ・バルデッティ前副大統領も逮捕された。

 事件は4月16日、当時の副大統領バルデッティの私設秘書フアン=カルロス・モンソンがまとめ役となって実行されていた税関脱税・贈収賄事件として発覚。モンソンは国外逃亡中。

 ベルデッティは5月8日辞任、取り調べを受けてきた。事件の関連で高官、経営者ら28人も逮捕されてきた。

 検察庁と、国連が支援する「グアテマラ反無処罰国際委員会」(CICIG)は、2014年5月から8万6000回の通話記録を分析。そこで交わされていた、贈賄先の優先順位を示す「エル・ウノ」(ナンバーワンの男)、「ラ・ドス」(ナンバートゥーの女)が大統領と前副大統領であるのを突き止めた。

 事件に怒ったグアテマラ市民は4月25日以来、全国で事件解明と大統領辞任を要求するデモを展開。国会は8月13日、大統領の不逮捕特権剥奪の是非を問う採決をしたが否決され、大統領は辛くも捜査を免れた。

 大統領は予審に備えての特権剥奪の国会採決に再び直面するが、辞任する選択肢もある。窮地に立たされた大統領は21日、訪問先の首都東方サカパ県で、「従来通り敢然と立ち向かう」と述べ、辞任する意志のないことを強調した。

 大統領任期は来年1月14日であり、次期大統領選挙は9月6日に実施される。国内は選挙戦の真っ最中だが、一大汚職事件で選挙戦がかすんでしまっている。

 CICIGは、遺憾ながら大統領と前副大統領が事件に中心的に関与したことが明らかになった、と表明した。前副大統領は21日、入院先の病院から刑務所に移され拘禁された。

 陸軍退役将軍である大統領には、内戦中の虐殺関与の疑いも指摘されている。

2015年8月21日金曜日

メルケル独首相がブラジリアでルセフ大統領と会談

 ドイツのアンゲラ・メルケル首相は8月20日ブラジリアでヂウマ・ルセフ伯大統領と会談し、両国首脳会談を2年ごとに開くなど政府間協議の場を確立することで合意した。

 同首相に同行している閣僚6人、副相5人は、ブラジルの約20人の閣僚と会合した。

 双方は、経済・投資、科学技術、再生可能エネルギー、教育、環境、海洋調査、港湾などの協力協定に調印した。環境では、とくにアマゾニア(アマゾン川流域)保護のため、ドイツが借款、贈与合わせて5億ユーロを提供することが決まった。

 両首脳はまた、伯亜ベネスエラなど南米5カ国が加盟する南部共同市場(メルコスール)と欧州連合(EU)の間で先ごろ再開された自由貿易協定交渉を評価した。

グアテマラ市民が選挙中止求めて抗議スト実施へ

 グアテマラの72の市民団体がつくる「社会・人民会議」(ASP)は8月19日、大統領選挙をはじめ各種選挙が実施される9月6日の総選挙中止、オットー・ペレス=モリーナ大統領辞任、制憲議会開設を求めて25~27日、全国ストを実施すると発表した。

 ASPには先住民、農民、労働者、学者、宗教関係者、NGON語などの団体が参加している。

 ペレス=モリーナ大統領は、大規模な汚職事件への関与が疑われ、国会で免罪特権剥奪の是非を問う採決に追い込まれたが、辛くも剥奪を免れた。副大統領ら高官多数が腐敗関与により逮捕されたり、取り調べを受けたりしている。

 ASPは、汚職・腐敗にまみれた祖国を、「グアテマラは黒く染められている」(グアテマラ・セ・ティニェ・デ・ネグロ)という指弾の標語で表し、職場、自動車など周辺の物を黒く塗るよう市民に呼び掛けている。

 

2015年8月20日木曜日

LATINA誌9月号の「乱反射」は「鶴見俊輔とメキシコ」

◎最近の伊高浩昭執筆記事

★月刊LATINA誌9月号(8月20日発売)

▼「ラ米乱反射」連載第113回 「鶴見俊輔とメキシコ」

 7月に死去した偉大な知識人・鶴見俊輔は1972~73年メヒコに滞在し、メヒコ大学院大学で教鞭をとった。そのとき鶴見は、聖母グアダルーペ、ホセ=グアダルーペ・ポサーダの骸骨版画、死者の日、先住民族ヤキ、スペイン人亡命社会、亡命者・佐野碩などに関心を抱き、熱心に取材した。その様子を描く。

▼書評

『政治学大図鑑』(ポール・ケリーらの共著、三省堂、4200円):これを読めば、今日の極右国家主義状況の思想的源流などがはっきりとわかる。

『創造するコミュニティ』(石黒馨・初谷譲次編著、晃洋書房、2500円):在日ブラジル人社会の教会の活動など、ラ米関係の興味深い共同体活動が紹介されている。

★NGOレコム機関冊子「ソンリサ」7月18日号

「ラ米百景」連載第56回「上野英信の思い出」:ラ米に移住した日本人の足跡を取材し書いた炭鉱作家との出会いを描く。

★書籍

『チェ・ゲバラ 旅、キューバ革命、ボリビア』(中公新書、950円=発売中=):2017年に歿後半世紀となる革命家ゲバラの伝記。

『われらのアメリカ万華鏡』(立教大学ラテンアメリカ研究所)=9月初旬刊行予定=
 

チリ最高裁が元秘密警察要員15人の裁判を決める

 チレ最高裁は8月19日、1976年7月14日、カルメロ・ソリーア=エスピノーサ氏を拉致し殺害した元国家情報局(DINA)要員15人を殺人罪などで法廷で裁くことを決めた。

 同氏はチレ国籍も持つスペイン人で、サアンティアゴ市に本部のある国連ラ米・カリブ経済委員会(CEPAL)の職員だった。

 DINAは、ピノチェー軍政時代の秘密警察を兼ねる諜報機関で、反軍政派の暗殺を主要任務としていた。元要員15人は、同氏が拷問で死亡した後、同氏が泥酔して自動車事故に遭って死んだように見せかける工作をしていた。
 
 

コロンビアで今年、人権活動家ら69人が殺害さる

 国連人権高等弁務官事務所は8月19日、ことし初めから現在までにコロンビアで人権活動家38人や共同体指導者ら計69人が殺害された、と発表した。

 同事務所は、政府当局に人権など社会活動に取り組む人々の安全を保障する保護を求めている。

ニカラグア運河建設路の地形を上空から撮影へ

 香港を拠点とする中国系企業HKND(香港ニカラグア運河開発投資公司)は8月19日、ニカラグア大運河建設予定路を上空から撮影し地形地図を作製する、と発表した。

 運河は太平洋岸からカリブ海岸まで全長276kmで、うち105kmはコシボルカ湖(ニカラグア湖)を通過する。運河用地の地上部分の幅10km、延長総160km余りの帯状の地形、および、同湖岸周囲の岸から幅2kmの楕円形上の帯状の地形を撮影する。

 運河建設のための予備的工事は既に始まっているが、特に太平洋岸から湖周辺に至る地域で、住民らが建設工事に激しく反対捨ている。  

2015年8月19日水曜日

若手4人組が9月13日、恵比寿でタンゴ演奏会

 日本人4青年のタンゴバンド「VIRTUS(男らしさ)」が9月13日、コンサートを開く。CD「ブエノスアイレスの四季」を出したのを記念する演奏会。

 場所は、渋谷区恵比寿南1-7-8 恵比寿サウスワン地下一階 アートカフェフレンズ。開演1330。予約3000円、当日3500円。会場電話03-6382-9050。

 出演は、バンドネオン仁詩、ヴァイオリン水村浩司、ピアノ須藤信一郎、コントラバス高杉健人。これら4楽器は、タンゴの「四つの心」と呼ばれる。

アメリカン航空がLA・ハバナ間にチャーター便運航へ

 アメリカン航空(AA)は8月18日、ロサンジェルス-ハバナ間に12月12日から毎土曜日運航するチャーター往復便を開設する、と発表した。B737型機を用いる。米西海岸地方からの対玖チャーター路線開設は初めて。

 AAは、1991年からクーバ系市民の多いマイアミおよびタンパとハバナを結ぶチャーター便を運航しており、LA便が開設されれば、合計週22便の運航となる。

 米ジェットブルー航空は7月からNY・ハバナ間、およびマイアミとタンパ・ハバナ間にチャーター便を運航している。

 玖米航空当局は現在、定期商業便を年末までに再開する交渉を続けている。そのためには、経済封鎖の一環として禁じられている米国人一般旅行者の対玖自由渡航が解禁される必要がある。

 米航空各社は、定期便運航が認可され次第、参入する用意があると表明している。 

2015年8月18日火曜日

「週刊読書人」がゲバラとキューバ・米国交めぐり対談実施

 書評や新刊書紹介を通じて書籍文化を論じる出版界の新聞「週刊読書人」が8月17日、東京・神楽坂の日本出版クラブで、ジャーナリスト伊高浩昭と、西語文学者・柳原孝敦(東大教員)との対談を主催した。

 『チェ・ゲバラ 旅、キューバ革命、ボリビア』(伊高浩昭著、中公新書)出版を機に、「革命家チェ・ゲバラ」の意味、昨今のクーバと米国の国交再開、を中心に話し合われた。

 柳原氏には、『チェ・ゲバラの記憶』(フィデル・カストロ著、2008年、トランスワールドジャパン)、『チェ・ゲバラ革命日記』(チェ・ゲンバラ著、2012年、原書房)というチェに関する書籍の訳書がある。

 対談内容は近く、週刊読書人紙に掲載される。

米州人権委派遣団がメキシコ当局の対応を厳しく批判

 メヒコ・ゲレロ州イグアラ市で昨年9月26日発生した教員養成学校生43人強制失踪事件の捜査に協力している米州人権委員会(CIDH)専門家派遣団は8月17日メヒコ市で記者会見し、メヒコ検察庁の対応を厳しく批判した。

 イグアラ市に駐屯する陸軍第27大隊基地の将兵らは学生事件当日、避難してきた学生らと対面しながら避難を拒否した。CIDH派遣団が同大隊にこの件について直接事情聴取を求めたところ、検察庁から拒否された。同庁は、質問状を提出するよう求めたが、派遣団はこの間接的な事情聴取を拒絶した。

 派遣団はまた、検察庁は学生らの衣類を発見していながら、これを証拠品として提示しないでいた、と批判した。派遣団は6月29日に初めて衣類の存在を知り、提示を求めた。衣類はその後、オーストリアのインスブルック大学の法医学研究所に送られ、調査されている。

 検察庁は、事件捜査や関係者に対する尋問の様子を写したビデオを確保していたが、これも証拠として提示されることなく、破壊されてしまったもよう、と派遣団は指摘した。

 ゲレロ州サルティアンギス村の路上で8日、学生事件調査に協力していた人権活動家ミゲル=アンヘル・ヒメネス=ブランコの他殺体が発見されているが、派遣団はこの事件を糾弾し、当局に早期解明を求めた。

 派遣団は9月6日、事件調査の最終報告を発表する予定。

詩人ガルシア=ロルカの遺骨発掘作業、10月再開へ

 スペインの詩人フェデリコ・ガルシア=ロルカ(FGL)らの遺骨を探している同国市民団体は8月17日、遺骨発掘作業を10月再開する、と明らかにした。

 共和主義者で同性愛者だったFGLは、内戦勃発直後の1936年8月17日、アンダルシーア州内でフランコファシスト要員に殺害され、遺体を州内アルファカル地域の地中に埋められた。

 有志や市民団体は長らく遺体発掘作業を続けていたが、ことし5月、州政府が資金を打ち切ったため、中断を余儀なくされていた。このほど州政府が予算を復活させたため、作業再開が可能になった、という。

 10月は熱暑が収まりながら日照時間が依然長いため、発掘作業に向いている。FGLの遺骨は作業中断個所から20m以内の地域に埋まっている可能性が強いという。

 内戦以降、フランコ派によって13~15万人が処刑され、うちFGLを含む10万人の遺体は集団墓に放置され、遺骨の所在が明らかでない。市民団体はこれまで6500柱の身元を確認してきた。

 また内戦中から30万人が国外に亡命、27万人が投獄され、共和派過程から子供1万人が拉致され、フランコ派に渡された。
 

2015年8月17日月曜日

キューバ人の出国、移民法改正後増え続ける

 クーバ統計庁は8月16日、クーバ人の外国旅行数について発表、移民法が改正された2013年には、前年比66・7%増の延べ28万7000回の出国があった、と指摘した。

 さらに2014年は35万5000回で、前年比23・7%増しだった。

 移民法改正によって、クーバ人の出入国規制が大幅に緩和された。これが、米玖国交正常化交渉開始を招く要因の一つとなった。

 一方、米当局は、昨年10月以降、クーバ人1444人が米国に不法入国しようと試みた、と明らかにしている。クリントン政権期に決まった、米領土に足を踏み入れた者は移住可、海上で摘発された者は移住不可、という規定が依然生きているためだ。

ブラジルで3度目の反大統領デモ実施さる

 ブラジルで8月16日、ヂウマ・ルセフ大統領の辞任を求める反政府勢力によるデモ行進が首都ブラジリアをはじめサンパウロ、リオデジャネイロなど全国の主要都市で実施された。報道によると、計85万人が参加した。

 この抗議行動は、100万人を動員された3月15日、60万人が参加した4月12日に次ぐ3回目。社会政策に反対し緊縮財政を要求する野党ブラジル民社党(PSDB)に代表される上流および中流上層の人々が参加しており、新自由主義政策を良しとする財界が支援している。

 反政府派は、国営石油ペトロブラス社絡みの大規模な汚職事件や、「ルセフ政権の無能」を理由に、大統領退陣を求めている。

 だが、合憲大統領を任期途中で打倒する国際的陰謀がラ米にはあり、これまでベネスエラ、エクアドール、ボリビアで未遂、オンドゥーラスとパラグアイで成功している。

 この種の策謀には、財界、右翼・保守政界、メディア、在米勢力などが加担している、とされる。

 ルセフ大統領は、任期を絶対に全うし、大統領である間は所得再分配政策を続行する、と決意を表している。 

キューバ通信PLが「天皇の反省」で論評

 クーバ国営通信プレンサ・ラティーナ(PL)は8月16日、日本の敗戦記念日での天皇の言葉に関する東京発の解説記事を発信、天皇は第二次世界大戦中の日本軍国主義による被害者の気持を鎮めるため悔恨の意を表した、と論評した。

 天皇は「深い反省」という表現を用いたが、日本メディアによると、これは初めて使われた言葉だった、とPLは指摘した。

 そのうえでPLは、このように天皇は中国、および1910~45年日本の植民地支配下にあった韓国の不満を和らげようと試みた、と分析している。

 さらにPLは、ことしの戦没者追悼式典は、国会で安倍首相と自民党政権によって、日本が国外で軍事行動できるようにする立法のための審議が推進されている時期に重なった、と付け加えた。

2015年8月16日日曜日

テレスールのE・ロテ記者が日本取材を終える

 カラカスに本部を置くラ米多国籍テレビ放送「テレスール」(南テレビ)の企画担当重役であるエドゥアルド・ロテ記者(70)は、カメラマンと共に、広島と長崎の被爆70年行事、東電福島原発大惨事の周辺、敗戦70周年記念日8月15日の東京の表情、などを取材した。そのニュース映像は毎回、カラカス経由でラ米諸国などに中継放送された。

 ロテは車椅子を使っての取材だったが、ヴェトゥナム戦争取材時の1966年に訪れて以来49年ぶりの日本を10日間、新たに観察した。新宿で15日夜催された歓送宴で、日本の印象について「経済が好調で、人々の暮らしが豊かに見えるのは以前と同じだが、社会に潜むさまざまな問題の存在を今回知ることができた」と言い、<ブラック企業>の存在や若者層の苦境を挙げ、政治の<軍事化>にも触れた。

 ベネスエラで今年12月実施される国会議員選挙については、政権党・ベネスエラ統一社会党(PSUV)は圧勝ではないが過半数を優に上回るはずだ、と展望した。だが選挙前の3カ月半の間に、反政府勢力がグアリンバ(街頭暴力)を仕掛けてくる可能性があると指摘した。

 ロテとカメラマンは16日、成田空港からメヒコ市経由カラカスへと、帰国の途に就いた。帰国後、今回の取材ビデオを総合し、日本特集の長物報道番組を制作する。

チリ軍部が公金横領事件を認める

 チレ軍部の公金横領事件がまた明るみに出た。陸軍は8月14日、銅準備基金から巨額の資金が不正に流用されていた事実を認めた。現在も調査中。

 軍部は1958年、「銅準備法」によって銅輸出額の一定率を基金にすることを認められ、そこから兵器購入などの資金を捻出していた。ピノチェー軍政下で、その率は10%に増やされた。チレは世界一の産銅国であり、輸出額の10%は莫大な額となる。

 独裁者だった故アウグスト・ピノチェーも巨額の公金横領で取り調べ対象だったが、真相解明が不十分のまま死去した。

 今回明らかになった公金横領事件は3月、チレ大学電子新聞が暴露して発覚した。ピニェーラ前政権期の2010年から去年3月までの間に、武器購入代金を水増しした伝票によって横領された。

 20万ドルを賭博場で使ったり、月給を二重取りしたりするのに使われていた事実が発覚している。関与した軍人2人が昨年6月から身柄を拘禁されているが、関与者は増えるものと見られている。

 軍部はピノチェー軍政期に発生した夥しい数の人道犯罪関与者が依然裁かれつつあり、過去の反省を日々迫られている。そこに持ち上がった公金横領事件で、軍部の名声はさらに低下している。  

アラブ首長国連邦とパナマ間に直行便運航へ

 アラブ首長国連邦(UAE)のエミレイト航空が来年2月1日から、ドゥバイ-パナマ市間に途中無着陸往復直行便を毎日運航することになった。8月12日発表された。

 航続距離は1万3821km。現在の最長路線は豪州クアンタス航空が運航するシドニー-ダラス便だが、ドゥバイ-パナマ市便は、これを上回り世界最長路線となるという。

 昨年11月、パナマのイサベル・サンマロ副大統領がUAEを訪問した際、新路線開設について話し合われた。

 エミレイト航空はB777-200LR機(客席266、貨物搭載量15トン)を使用する。ドゥバイ発はEK251便、その折り返し便でパナマ市発はEK252便となる。

2015年8月15日土曜日

コロンビア大統領がFARC最高指導者に会談呼び掛け

 コロンビアのJMサントス大統領は8月14日、コロンビア革命軍(FARC)の最高指導者ロドリゴ・ロンドーニョ=エチェベリー(ゲリラ戦士名ティモチェンコ)と戦闘状態収拾のため会談する用意がある、と表明した。

 政府とFARCはハバナで、内戦被害者への賠償問題で交渉中。併せて、和平交渉中の停戦、および恒久的停戦について話し合っている。

 国内には、アルバロ・ウリーベ前大統領の率いる右翼勢力による和平交渉反対運動もあり、和平達成を急ぎたいサントスは「頂上会談」に出る意志を打ち出したわけだ。 

Nマドゥーロ・ベネズエラ大統領の支持率低迷

  ベネスエラのデルシー・ロドリゲス外相は8月14日、ジョン・ケリー米国務長官に対し、内政干渉を止めるよう呼び掛けた。長官が米国の保守メディアに、「ベネスエラ情勢は問題が多い」と語ったのを受けて、である。

 外相は、「ベネスエラはシモン・ボリーバルとウーゴ・チャベスを生んだ独立国であり、主権のために戦った輝かしい歴史を持つ」と強調し、VEN米関係改善には相互尊重精神が不可欠だと述べた。

 一方、14日公表されたデタナリシス社の世論調査結果によると、ニコラース・マドゥーロVEN大統領の7月の支持率は24・3%と低かった。同大統領の施政に反対する者は70・4%に達した。同社に対しては、反政府勢力寄りとの批判がある。

 また12月6日の国会議員選挙を控えている政党の支持率は、政権党・ベネスエラ統一社会党(PSUV=ペスーブ)28%、野党連合MUD(ムドゥ)50・7%だった。

 マドゥーロ大統領は14日ハバナで、ラウール・カストロ議長、ブルーノ・ロドリゲス外相と会談した。

 政府は12日、2009年にから6年に亘り拘禁され服役していたラウール・バドゥエル元国防相を釈放するなど、政府に不利な世論を変えようと努めているが、日常の経済生活の不自由が蔓延していることから支持率は低迷している。

 バドゥエル陸軍退役将軍は、士官学校時代からの故チャべス前大統領の盟友で、02年4月、チャベスがクーデターで2日余り政権を追われた際、国軍部隊を動かしてクーデターを潰した英雄。チャベスによって国軍司令官、国防相に任命されたが、チャベスの社会主義的政策に反対、反政府運動を開始、公金横領罪などで逮捕された。

ケリー国務長官がハバナで米大使館を公式に開く

 ジョン・ケリー米国務長官は8月14日、ハバナの米大使館で国旗掲揚式を主催し、演説、祝賀レセプションを催した。演説では、今後の正常化深化過程で合意できないことがたくさんあろう、と指摘しながら、「両国民は敵でもライバルでもなく、隣人として接近した」として、対話継続の重要性を示唆した。

 長官はまた、「我々の過去の政策はクーバの民主体制移行を招かなかった。国交正常化によって短期間にその移行がもたらされると考えるのは非現実的だ」とも述べ、米政府がクーバ体制の平和裡の変換を長期的に目指していることを印象付けた。

 長官は次いで、ブルーの・ロドリゲス玖外相と会談。その後、ナシオナルホテルでそろって記者会見に臨んだ。長官は、米議会はクーバの人権問題に配慮せずに対玖経済封鎖解除の採決を行うことはありえまい、と述べた。

 ブルーノ外相は、人種差別的暴力や警察による弾圧が行なわれているのはクーバではないとし、米国にも人権問題があることを指摘した。

 長官はハバナ旧市街を散策、同地域にある米臨時代理大使邸で、クーバの反体制派指導者らと懇談、約10時間のハバナ滞在を終え、同日夜、ワシントンへの帰途に就いた。

 今回の長官訪玖は、クーバ駐在通信員、短期特派員ら外国メディア記者約500人が取材した。

2015年8月14日金曜日

グアテマラ国会が現職大統領の免責特権剥奪を否決

 グアテマラ国会は8月13日、広範な汚職関与の嫌疑がかけられているオットー・ペレス=モリーナ現大統領の不逮捕特権剥奪を否決した。これにより、捜査当局は大統領の取り調べができなくなった。

 定数158の1院制国会では、免責特権剥奪には3分の2(105)の支持票が必要とされるが、88票しか集まらなかった。剥奪に反対した26議員は、政権党・愛国党(PP)、価値展望党(PVV)の所属者が中心だった。他の44人は棄権ないし不参加(欠席)だった。

 グアテマラでは9月6日、次期大統領選挙が実施される。現職任期は来年1月までであり、人気を全うさせたいとする極右、右翼、保守勢力が大統領特権剥奪を阻んだ。

ジョン・ケリー米国務長官がキューバ到着

 米国のジョン・ケリー国務長官は8月14日、ハバナに到着した。米国務長官の訪玖は1945年以来70年ぶり。

 長官は、米大使館で国旗掲揚式を主催、歓迎祝賀会を催す。ブルーノ・ロドリゲス玖外相との会談、クーバ反体制派との話し合いなどが日程に組まれている。

 ラウール・カストロ議長、フィデル・カストロ前議長との会談は予定されていないと伝えられる。長官は14日、ワシントンへの帰途に就く。

エクアドールで反政府派が抗議行動

 エクアドールで8月13日、ラファエル・コレア大統領の「市民革命」政策と2017年の連続4選出馬に抗議する「全国ストライキ」が展開された。投石などにより、警察機動隊員45人が負傷した。

 この日の抗議行動は最大労連、労働者単一戦線(FUT)が呼び掛け、エクアドール先住民族連盟(CONAIE)、学生団体、医師会などが呼応した。先住民は各地で自動車道を遮断した。だがストにも拘わらず、交通、学校、病院などは、ほぼ通常通り運営された。

 コレア大統領支持派は、キト旧市街中心部にあるカロンデレー宮(大統領政庁)一帯に動員され、抗議デモ隊と対峙、政権支持を訴えた。

 大統領は、ストは失敗したと述べ、背後に国内の強力な勢力がいると指摘、政敵であるグアヤキルのバナナ財閥などの存在を示唆した。コレアはまた、ラ米諸国の進歩主義政権打倒のため暗躍している国際的勢力がエクアドールでも加担している、との見方を示した。

 コレアは、反対派は選挙で勝てないから街頭暴力に訴えると非難しながらも、対話を呼び掛けた。

 コレア追い落としを狙う反政府勢力の抗議行動は、6月から激化していた。

ピノチェー軍政期の元将軍が禁錮刑判決受け自殺

 チレのピノチェー軍政期に陸軍情報局長を務めたエルナン・ラミーレス=ルランヘ退役将軍(76)が8月13日、拳銃で頭部を撃って自殺した。ラミレスは他の13人と共に11日、謀殺事件関与でチレ最高裁から禁錮10年の実刑を言い渡されていた。

 事件は1995年4月、元チレ国家情報局(DINA)化学者エウヘニオ・ベリーオスが他殺体で発見され、発覚した。ベリーオスは、ピノチェー軍政反対者を殺すためのサリンガスを製造していた。

 別件だが、アジェンデ社会主義政権の外相だったオルランド・レテリエルは米国で1976年暗殺され、ベリーオスはこの暗殺事件の公判で証言するよう法廷から命じられていた。

 ベリーオスは証人になるのを避けるため91年11月ウルグアイに去り、姿を隠した。拉致されたとされる。その後、ラミーレスらと連絡を取り合っていたウルグアイ軍要員らによって抹殺されたもよう。

 11日判決を言い渡された13人には、ウルグイアの元軍人3人が含まれている。

キューバ革命の指導者フィデル・カストロが89歳に

 クーバ革命の指導者フィデル・カストロ=ルスは8月13日、満89歳の誕生日を迎えた。ボリビアのエボ・モラレス、ベネスエラのニコラース・マドゥーロの両大統領がハバナに馳せ参じ、祝福した。3人は車でハバナ市内を回り、祝福する市民らに挨拶を送った。

 この日、共産党機関紙グランマは1面に「現実と理想」と題したフィデルの文章を掲げた。その中でフィデルは、玖米国交樹立を肯定しながらも、米国を念頭に置いて、長年の敵対政策によって及ぼした害悪に対する巨額の賠償金をクーバに支払うべきだ、と強調した。

 ジョン・ケリー米国務長官は14日、ハバナの米大使館を公式に開くため、連邦議会議員ら19人を伴って来訪するが、その前日、フィデルは米政府を牽制したわけだ。フィデルの主張が、実弟ラウール・カストロ国家評議会議長の言い分を代弁しているのは言うまでもない。

 また、ベネスエラとボリビアから大統領が駆けつけたことは、米国と復交したクーバがラ米友邦との密接な関係を維持していることを内外に示す効果を持つ。

 マドゥーロは、「解放者シモン・ボリーバルの大地から、ボリバリアーナ革命の指導者ウーゴ・チャベスの精神をもって」フィデルを祝福した。モラレスは、「我々の革命の長兄フィデル」を祝福した。ニカラグアのダニエル・オルテガ大統領は祝賀のメンサヘ(メッセージ)を送った。

 プエルト・リコ、ロシア、インド、ヴェトゥナム、南アフリカなど、世界各地でも祝賀行事が催されている。

 【最後にクーバを訪問した米国務長官は、トゥルーマン政権のエドゥワード・ステティニウスで1945年。ケリーは70年ぶりの訪玖となる。】 

2015年8月13日木曜日

「女性の役割」に関する中米会合終わる

 サンサルバドールにある中米統合機構(SICA)本部で8月10日から開かれていた「ヘネロ(性=ジェンダー)と安全に関する地域会合」が12日終わり、閉会式にエル・サルバドールのサルバドール・サンチェス=セレーン大統領と、訪問中のミチェル・バチェレー智大統領が出席した。

 バチェレーは現在2期目の任期にあるが、1期目が終わった後の2010~13年、国連の女性問題オンブズマンを務めた。

 今会合は国連決議に基づく中米地域の会合で、「平和と安全保障に果たす女性の役割」を中心に話し合われた。

ベネズエラとイランが250項目で協力合意

 ベネスエラとイランは、250項目の協力合意書に調印した。ベネスエラ駐在のムスタファ・アラエイ大使が8月12日明らかにした。

 イラン文化最高評議会会員マハムド・エラギ師がイランのベネスエラ訪問団を率いている。同師は12日、ベネスエラ国会を訪れた。

 大産油国である両国は石油輸出国機構(OPEC)の加盟国同士で、ともに米国と政治的に対峙していた。チャベス前VEN大統領と、アフマディネジャド前イラン大統領の時代に関係が緊密化した。

スリナムのD・ボーターセ大統領が2期目就任

 スリナムの首都パラマリボで8月12日、デジレー・ボーターセ大統領(69)が連続2期目の任期に就任した。任期は5年。

 ボーターセは7月、与党・国民民主党(NDP)が多数派の国会で次期大統領に指名されていた。5月25日の国会議員選挙でNDPは勝ったが、党首ボーターセが自動的に大統領に収まることのできる圧勝ではなく、国会による指名となったが、対立候補がなく投票なしで指名された。

 大統領は就任演説で、金、ボーキサイトなど伝統産品に頼る経済構造を変えてゆくと言明した。

 かつて蘭領ギアナだったスリナムは、1975年オランダから独立。国軍司令官だったボーターセは1980、90両年クーデターで政権を握った。民政移管後、下野したが、2010年の国会議員選挙を経て大統領1期目に就任した。

 旧宗主国オランダは、ボーターセを麻薬取引関与で有罪としている。だが本人は否定、国会はボーターセに無罪決議を与えた。

 12日の就任式には、隣国ガイアナのデイヴィド・グランジャー大統領、赤道ギネアのテオドロ・オビアン大統領、エクアドールのラファエル・コレア大統領、ベネスエラのホルヘ・アレアサ副大統領ら来賓が出席した。

ラテンアメリカで「川内原発再稼働」広く報じらる

 ラテンアメリカ諸国の新聞や放送は8月12日、九州電力川内原発1号機が11日再稼働したニュースを外電を基に一斉に報じた。見出しの多くは、東電福島原発放射能漏れ大惨事から4年5カ月しか経っていない時点での再稼働であることを指摘している。

 スペイン通信EFEは、福島原発事故の責任があいまいのままであることへの批判がある事実を指摘。日本人の多くは、もう一度、同様の大惨事に見舞われる可能性を怖れているとし、反対世論が強いことを挙げる。

 EFEはまた、日本人には広島・長崎の被爆の記憶が鮮明であることにも触れている。

 フランス通信AFPは、日本人には福島原発事故のトラウマがあり、再稼働が適切か否か異論がある中で再稼働がなされた、と指摘した。

 ドイツ通信DPAは、日本人の多くは再稼働に反対している、と書いている。

 米通信APは、福島事故被災地域の住民がいまだに10万人も避難先での生活を余儀なくされていることに触れている。

 メヒコ通信NOTIMEXは、日本人は10人中6人が再稼働に反対している、と指摘した。

 中国通信・新華社は、反原発感情が依然強い中で再稼働がなされた、と伝えた。

 広島・長崎の被爆70周年記念日の直後にして、敗戦70周年記念日の直前の時期を選んで、なぜ再稼働させる必要があったのか。この日本政府と日本企業の無神経への強い疑問が、通信社などの報道の行間から伝わってくる。

2015年8月12日水曜日

ベネズエラ国会がCNN糾弾決議を採択

 ベネスエラ国会は8月11日、ベネスエラの不安定化を促しているとしてCNNテレビ放送を糾弾する決議を採択した。政権党ベネスエラ統一社会党(PSUV=ペスーブ)が賛成、野党勢力は棄権した。

 政権党議員らは、CNNが8月6日、一部都市で商店略奪未遂事件があったとか、物資供給が途絶えたなどと報じた後、誤報として詫びた事実を指摘し、誤報によって不満派の暴動を煽ろうとしたなどと非難した。

 ベネスエラでは12月6日、国会議員選挙が実施される。それに向かって政局は動いており、親政府と反政府の対峙が緊張状態にある。政府は、圧倒的に多い内外保守・右翼メディアの攻勢に神経をつかっており、政府に不利な誤報があれば、すかさず攻撃することになる。
 

ボリビアと米国が大使級関係復活の話し合い継続へ

 ボリビアのエボ・モラレス大統領は8月11日ラパスで、米国のピ-ター・ブレナン臨時代理大使と会談し、大使級外交関係復活に向けて引き続き話し合ってゆくことで合意した。

 モラレスは2008年9月、クーデター誘発を狙った大規模な反政府行動に米政府が加担していたとして米大使を追放、米国もボリビア大使を追放した。以来、大使不在のままだ。だが昨年12月、双方は関係改善に向けて外交対話を始めた。

 モラレスは、米国はクーバ、イランとの関係が悪かったが、いまではその関係は改善されていると指摘し、このような国際情勢とボリビアは無関係ではない、と述べ、ボリビアと米国も関係改善への潮時を迎えているとの考えを示唆した。

 会談後、モラレスは、対米輸出が06年の3億ドルから14年の12億ドルへと3倍に増えたことを挙げ、米国との通商関係が良好なことに触れた。

 モラレスは13日、ハバナでフィデル・カストロ前議長の89歳の誕生日を祝う。14日には、ジョン・ケリー米国務長官がハバナの米大使館の開設式を主催する。
 
  

ガルシア=マルケスの遺灰はカルタヘーナに安置へ

 コロンビア人文豪ガブリエル・ガルシア=マルケス(GGM)の遺灰が、コロンビアのカルタヘーナ市の修道院に安置されることが決まった。同市を州都とするボリーバル州政府が8月11日、発表した。

 ノーベル文学賞作家GGMは昨年4月17日、居住地メヒコ市で死去し、遺灰は同市内の邸宅にある。だがこのほど、コロンビア人であるメルセデス夫人と2人の息子は、故人が愛したカルタヘーナに移すことを決めた。

 カリブ海に面したカルタヘーナはGGMが少青年時代に一時期住んだ地で、GGMのジャーナリズムもここで始まった。作家は晩年まで、しばしばカルタヘーナを訪れ、親類縁者や友人たちと会っていた。

 遺灰は12月12日、旧市街の城壁内にあるラ・メルセー修道院に安置される。この修道院には、カルタヘーナ大学本部が置かれている。また12月12日はメヒコの聖母グアダルーペの「出現の日」とされ、GGMが永住権を持っていたメヒコへの、故人と遺族の愛着を窺わせる。

 ボリーバル州政府は声明で、GGM遺族の決定を深い感動をもって受け止めた、と強調している。

 一方、GGMが興した「イベロアメリカ新ジャーナリズム財団」(FNPI、本部カルタヘーナ)のハイメ・アベジョ理事長は11日、「GGMと夫人のコロンビアニダー(コロンビア人性)が確認された」と指摘し、GGMの作品の90%以上の題材がコロンビアであることに触れた。
 

2015年8月11日火曜日

アルゼンチン予備選でDシオーリ候補が1位

 亜国司法・人権省は8月10日、前日実施された大統領選挙予備選の結果を発表した。得票1位は、ペロン派左翼のフェルナンデス現政権の候補ダニエル・シオーリで38・11%だった。開票率は97・84%。

 2位は、新自由主義路線のマクリで24・28%。だが選挙連合内の他の3候補への票を加えると30・07%になる。同3候補は敗れ、同連合候補はマクリに一本化される。

 3位は、ペロン派伝統派(保守)のマサで14・23%。選挙連合内他候補票を合わせれば20・63%になる。

 この結果から10月の本選挙では3候補とも当選条件を満たせず、決選にシオーリとマクリが進出し、シオーリがマサ票を吸収して当選するか、マクリとマサが連合して勝つかが焦点となる。

 政治評論家らには、シオーリとマサがペロン派同士、手を組む公算が大きい、と見る向きが多い。

メキシコで学生失踪事件解明協力者が殺害さる

 メヒコの教員養成学校生43人の強制失踪事件の解明を支援していた著名なタクシー運転手ミゲル=アンヘル・ヒメネスが8月8日、他殺体で見つかった。

 遺体は本人のタクシー車内に放置されていた。場所はアカプルコに通じる自動車道だった。一帯では、麻薬組織が暗躍している。

 学生事件は昨年9月26日ゲレロ州イグアラ市で発生したが、事件の真相は未解明。ヒメネスは仕事の合間に時間を割き、同州内で秘密墓発掘指導を中心に活動、報道により国内で広く知られていた。

 ヒメネス殺害事件は、強い衝撃を与えている。メヒコの「迷宮入り体質=犯罪無処罰体制」がまた一つ印象付けられた。

ベネズエラ大統領が「米南方軍の陰謀」を指摘

 米州ボリバリアーバ同盟(ALBA、11カ国加盟)の特別外相会議が8月10日カラカスで開かれ、「帝国主義による米州の南への介入への対処」、「地域経済強化」について話し合った。

 外相会合後に出席したニコラース・マドゥーロVEN大統領は、米南方軍司令部がカラカスの米大使館に要員を配置し、ベネスエラ国内で経済不安定化、暴力醸成を策謀していると非難。近日中に米国との合同会合で、その証拠を提示すると述べた。

 大統領は、この陰謀にはベネスエラの極右勢力が加担しているとし、作戦名を「ブイトゥレ(禿鷲)計画」と明らかにした。

 経済協議では、ALBA銀行および、ペトロカリーベ・ALBA投資基金が合同で、加盟国のグレナダ、ドミニカ、セントルシーア、セントクリストファー・ネヴィス、アンティグア・バーブーダのカリブ英連邦5カ国に、風力発電、太陽パネル、学校、スポーツ施設などの建設に融資することが気まった。

2015年8月10日月曜日

ハイチで国会議員選挙実施さる

 アイチで8月9日、国会議員選挙が実施された。当初2011年に実施されることになっていたが、前年の大震災などの影響で14年に延期された。だが、これも延期されて今回の選挙実施となった。

 下院は定数119人を選ぶ。ことし1月で、下院議員全員が任期切れとなり、下院は空っぽになっていた。上院は定数30人のところ現職10人しかおらず、残る20人が今回選ばれる。結果は10日後に判明するという。米州諸国機構(OEA)が監視団を派遣した。

 ミシェル・マルテリ現大統領は来年2月で任期満了となるが、次期大統領選挙は今年10月25日実施される。同じ日に、今回の国会議員選挙の決選投票も予定されている。有権者は580万人。

アルゼンチン大統領選挙予備選で政権党候補優勢

 アルヘンティーナでは10月25日大統領選挙が実施されるが、その予備選が8月9日実施された。最終的な得票率は集計されていないが、ペロン派左翼のクリスティーナ・フェルナンデス現大統領の政治運動「勝利のための戦線」の候補ダニエル・シオーリ(ブエノスアイレス州知事)の優勢が確実視されている。

 シオーリは現政権の社会政策重視路線を継承するとしながらも、「直すべきは直す」と言っており、経済や外交の政策立て直しを図りたい構えを見せている。

 2位は、新自由主義を掲げる対抗馬のマウリシオ・マクリ(ブエノスアイレス市長)。「共和国提案」(PRO)党首で、保守・中道・右翼の連合「カンビエモス(変革しよう)」から出馬する。財界保守は、1990年代のカルロス・メネム政権のような新自由主義の再来をマクリに期待している。

 この連合には、中産層の伝統政党、急進市民同盟(UCR)も参加している。

 3番手は、ペロン派反主流派「新しい亜国のための団結刷新戦線」(FRUNA)のセルヒオ・マッサ候補。

 大統領選挙では、得票率45%以上、もしくは40%+2位に10ポイント差、で当選できる。この条件を満たす者がいない場合は、上位2候補が決選投票に進出する。

 このためマクリは第一回投票で食い下がって、12月27日に予定される決選に持ち込み、反シオーリおよび反フェルナンデス票をまとめて逆転当選する可能性を探っている。

大仏次郎の『パナマ事件』を読む

   大仏次郎(1897~1973)には、フランス近現代史の仏語資料を基にまとめた一連の作品がある。その一つが、1959年に発表された『パナマ事件』である。朝日新聞社の文庫本(1983)で読んだ。

   スエズ運河を建設したフェルディナンド・ドゥ・レセップス(1805~94)の栄光と波乱に富んだ生涯を描いたノンフィクション。スエズ運河建設で世界的著名人となったレセップスは、その声望に後押しされてパナマ運河建設に挑むが、見事に失敗する。それからは失意のうちに凋落の晩年を送る。

 著者は、これを戦前に書く予定だったが、2・26事件後の日本政治の軍国主義化で断念した。巻末の解説で井出孫六が指摘するように、時宜を逸したことや、文章が細部に入り込みすぎて、迫力を欠く嫌いがある。

 だが、レセップスルの人生を知る上で、十分に面白い。私はスエズとパナマの両運河を通航した経験があるが、レセップスの人生の明暗を分けた二つの運河は彼と不可分の関係にある。

 通航する時、オマージュを捧げないわけにいかない。スエズ運河は最近、一部水路が複路化された。
 

2015年8月8日土曜日

チリ軍政期の「死の天使」マヌエル・コントゥレラスが死去

 チレ軍政期に3200人を超える左翼ら反対派市民を拉致、拷問、虐殺、暗殺した責任者マヌエル・コントゥレラス退役将軍(86)が8月7日、サンティアゴ市内の軍事病院で死去した。

 ピノチェー軍政(1973年9月11日~90年3月11日)下で、国家情報局(DINA)長官だったコントゥレラスは人道犯罪58件で有罪となり、計526年の実刑判決を受け、服役していた。他の56件は係争中だった。

 コントゥレラスは軍政首班アウグスト・ピノチェーの命を受け、人道犯罪を重ねた。アジェンデ政権で国防相など要職を歴任し、ブエノスアイレスに亡命していたカルロス・プラッツ将軍夫妻を暗殺するなど、当時の南米南部軍政諸国政権と謀って要人を暗殺し合う「コンドル作戦」のチレ側責任者でもあった。

 結腸癌、糖尿病などを患っていたが、それが悪化、死去した。 

ブラジルでラジオ放送中のジャーナリストが射殺さる

 ブラジル北東部セアラー州のカモシム市で8月6日白昼、ラジオ放送局に武装した2人の男が侵入し、スタヂオで放送中のジャーナリスト兼アナウンサーを射殺した。

 殺されたのは、リベルダージ(自由)放送局のグレイヂソン・カルヴァーリョで、地元政治家らの腐敗摘発で名を知られ、脅迫されていた。同市は、「彼の死で、市は最も重要な告発者の一人を失った」との声明を発表した。

 警察は6日、容疑者2人を市内で逮捕、他の実行犯2人の行方を追っている。ブラジルでは5月にも、麻薬取引と少女買春を取材していた記者がそれぞれ1人ずつ殺害された。うち一人は首を切り取られていた。

2015年8月7日金曜日

ベネズエラが領土問題で立場をカリブ諸国に説明

 ベネスエラのニコラース・マドゥーロ大統領は8月6日、隣国ガイアナとの間で抱えている同国西部エセキーボ地方の領有権問題で、ベネスエラの立場を説明するため、ホルヘ・アレアサ副大統領とデルシー・ロドリゲス外相をカリブ諸国に派遣した。

 アレアサ副大統領は同日、グレナダの首都セントジョーンズでケイス・ミッチェル首相と会談した。アレアサは次いでドミニカ、アンティグア・バーブーダ、バルバドス、クーバを歴訪する。

 一方、ロドリゲス外相も同日、トゥリニダード・トバゴの首都ポートオブスペインでウィンストン・ドゥッケランタ外相に会った。ロドリゲスはこの後、セントルシーア、セントクリストファー・ネヴィスを訪れる。

 ガイアナを含むカリブ英連邦諸国はカリブ共同体(カリコム)を構成している一方、その多くがカリブ石油連帯機構(ペトロカリーベ)を通じてベネスエラが安く供給する原油を輸入しているため、いずれの味方をするわけにもいかない立場にある。

 カリブ地域の最有力国クーバにしても、同盟国ベネスエラと、友好関係を維持してきたガイアナを含む英連邦諸国の両方とも重要であり、ベネスエラ支持を打ち出しにくい。

2015年8月6日木曜日

ベネズエラ外務省が米政府の干渉をはねつける

 ベネスエラ外務省は8月5日、米国務省が4日、ベネスエラ中央選管の決定に口を挟んだことにを「内政干渉」としてはねつけた。

 選管は3日、国益に反する外交行動に出た極右元国会議員ら5人の国会議員選挙出馬希望者の立候補を禁止した。国務省は決定を見直すよう求めたが、外務省は、米政府は「拒否権」を行使しようとしていると揶揄し、一蹴した。

 国会議員選挙は12月6日、実施される。

2015年8月5日水曜日

グアテマラでオートバイに乗った2人組による殺人多発

 グアテマラの人権団体「相互支援団」(GAM)は8月4日、2012年初めから15年上半期までに同国でオートバイに乗った2人組の殺し屋による銃撃で1537人が殺され、699人が負傷した、と発表した。

 この種の殺人は、麻薬組織、暴力団などによる組織犯罪絡みの襲撃や報復が多い。グアテマラでは年間6000人が殺害されているが、その半数は組織犯罪関係とされる。

 前政権はオートバイの2人乗りを禁止し狙撃防止に努めたが、現政権はこの禁止を解除している。
 

2015年8月4日火曜日

ボリビアのエボ・モラレス大統領が4選出馬検討へ

 ボリビアのエボ・モラレス大統領は8月3日ラパスで、2020~25年を任期とする次期大統領選挙への出馬を検討する、と明らかにした。出馬すれば4選を目指すことになり、憲法はこれを認めていない。

 先住民および農民の団体などモラレス大統領の支援組織は2日コチャバンバで会合し、改憲のための国民投票実施を求める運動を開始したいと意思表示した。モラレスは、これを受けて、支持者から出た要請であり、出馬するか否かは12月に検討したいと述べた。

 大統領はさらに3日、国交のないチレとの外交関係の正常化により海岸領土問題を解決するため、チレに対し外務省を通じて公式に外交関係復活交渉を提案する、と表明した。

2015年8月3日月曜日

メキシコでまたジャーナリストが殺害さる

 メヒコ市ナルバルテ地区のアパルタミエント(アパート)で7月31日、フォトジャーナリスト、ルベーン・エスピノーサ(31)の他殺体が発見された。エスピノーサは首都出身だが、8年前からベラクルース市に住み、「プロセソ」誌になどに記事と写真を送っていた。専門は社会抗議運動だった。脅迫され、過去2カ月、メヒコ市に戻っていた。

 問題は、エスピノーサのほかに、4人の女性の他殺体が同じアパルタミエントで同時に発見されたことだ。コロンビア人1人とメヒコ人3人で、エスピノーサを加えた5人は皆、頭部を撃たれていた。メヒコ市当局は、殺人事件と断定している。

 エスピノーサと女性たちとの関係は明らかにされていない。犯人が猟奇的事件に見せかけた、との見方もある。

 メヒコ市中心街では8月2日、遺族、ジャーナリスト、人権活動家らが事件に抗議し、解明を要求するデモを実施した。

 ベラクルース州内では2000~2015年に17人の報道関係者が殺害されている。またメヒコでは2000~14年に87人ないし102人が殺されてきた。麻薬マフィアなどによる組織犯罪が全国的に拡がっているメヒコは、ラ米でも記者活動が危険な国となっている。 

2015年8月2日日曜日

メキシコ市での第21回サンパウロフォーラム閉会

 メヒコ市で7月29日から開かれていた第21回フォロデサンパウロ(サンパウロフォーラム)会合は8月1日、54項目の最終宣言を採択して閉会した。次回は来年、エル・サルバドールで開かれる。

 最終宣言には、ラ米10カ国の左翼・進歩主義政権は前進している、との決議が盛り込まれた。同10カ国は、クーバ、ニカラグア、エル・サルバドール、ベネスエラ、ボリビア、エクアドール、アルヘンティーナ、ブラジル、ウルグアイ、チレを指す。

 また、ガイアナとの領土問題でベネスエラを支持する、との一項も含まれている。

ベネズエラで組織的なスーパーマーケット略奪事件発生

 ベネスエラ南東部のボリーバル州サンフェリックス市で7月31日、スペルメルカード(スーパーマーケット)4店が組織的な略奪に遭う事件が起き、1人が射殺され、60人が逮捕された。

 事件を受けてニコラース・マドゥーロ大統領は同日、12月6日の国会議員選挙実施を妨げるため野党勢力が謀った事件、と糾弾した。

 さらに大統領は、米南方軍のジョン・ケリー司令官が3月、ベネスエラで7月に騒乱状態が起きると語ったことに触れて、「ケリー将軍は予言したのではなく命じ、これに応じて右翼勢力が行動した」と指摘した。

 一方、野党連合MUDは31日、8月8日に「飢餓反対・抗議行動」を実施する、と発表した。選挙まで4カ月余り、政府と反政府勢力の対立は、いよいよ先鋭化する段階に入りつつある。

2015年8月1日土曜日

対キューバ経済封鎖は一度に全面解除と、ヒラリー強調

 次期米大統領選挙に出馬するため民主党候補の座を求めて遊説中のヒラリー・クリントン前国務長官は7月31日フロリダ国際大学で講演し、対玖禁輸(経済封鎖)は一度にすべてを終わらせるべきだ、との考えを示した。

 ヒラリーは、対玖関係が来年の米大統領選挙で争点になることを示唆し、共和党政権が復活すれば対玖政策は既に失敗した政策に後戻りすると警告するとともに、自分が大統領になれば経済封鎖を解除すると強調した。

 その際、「クーバの民間部門と市民社会に力を与えるという賢い政策に切り替えるべきだ」と訴え、マイアミ一帯に拡がる玖系米国人社会に対しては、「クーバの繁栄を促進しつつ、クーバ政権に圧力をかけるべきだ」と呼び掛けた。