2015年8月16日日曜日

チリ軍部が公金横領事件を認める

 チレ軍部の公金横領事件がまた明るみに出た。陸軍は8月14日、銅準備基金から巨額の資金が不正に流用されていた事実を認めた。現在も調査中。

 軍部は1958年、「銅準備法」によって銅輸出額の一定率を基金にすることを認められ、そこから兵器購入などの資金を捻出していた。ピノチェー軍政下で、その率は10%に増やされた。チレは世界一の産銅国であり、輸出額の10%は莫大な額となる。

 独裁者だった故アウグスト・ピノチェーも巨額の公金横領で取り調べ対象だったが、真相解明が不十分のまま死去した。

 今回明らかになった公金横領事件は3月、チレ大学電子新聞が暴露して発覚した。ピニェーラ前政権期の2010年から去年3月までの間に、武器購入代金を水増しした伝票によって横領された。

 20万ドルを賭博場で使ったり、月給を二重取りしたりするのに使われていた事実が発覚している。関与した軍人2人が昨年6月から身柄を拘禁されているが、関与者は増えるものと見られている。

 軍部はピノチェー軍政期に発生した夥しい数の人道犯罪関与者が依然裁かれつつあり、過去の反省を日々迫られている。そこに持ち上がった公金横領事件で、軍部の名声はさらに低下している。