2016年1月26日火曜日

破綻した石油依存型に代わる生産経済を、ベネズエラ政府強調

 ベネスエラのアリストーブロ・イズトゥーリス執権副大統領は1月24日、「チャベス前政権以来蓄積されてきた社会政策の成果を守るためには、破綻した石油依存型経済を超克し、生産的経済を発展させねばならず、そのための唯一の方法は、国内のさまざまな生産部門と率直かつ透明性をもって対話することだ。政府はそう確信している」と強調した。

 民放テレビ「テレベン」のジャーナリスト、JVランヘールの日曜定例番組で語った。同副大統領は、19日発足した「国家生産的経済理事会」(CNEP)の議長を務めており、「そうした対話機関こそがCNEPだ」と指摘した。

 だが、あくまで社会政策の成果維持が優先されると、繰り返し言及。国民皆識字化、年金生活世帯300万維持、学生1000万人教育維持など挙げてきた成果は「並大抵のことではない」と力説した。

 副大統領はさらに、「石油収益依存経済は破綻していたが、一昨年までの原油高がそれを延命させた。今や、石油部門以外の分野で外貨を稼がねばならない」と述べた。だが、「この国は一次産品を加工するのに慣れておらず、何でも輸入してきた」と言い、経済生産多角化が容易でないことを示唆。「企業家は生産する義務を果たすべきだ」と訴えた。

 JVランヘール(元副大統領、外相、国防相)はこの日の番組で、政府の経済政策に関する最新の世論調査結果を発表。政府と民間部門との連携に90%が賛意を示し、新しい経済モデル形成に79%が賛成、19%が反対した。

 政府による民間企業規制に80%が賛成、19%が反対。経済の政府主導には56%が賛成、41%が反対した。国公営企業の民営化には74%が反対。内外からの民間投資導入には85%が賛成した。

 全国農牧業者連盟(CONFAGA)のホセ・カンポス会長は25日、ベネスエラは耕作地を1000万hr拡大することが可能、と述べた。食糧生産に全力を挙げれば、輸入は激減、食品不足も起きないはずだが、石油収益依存体質がなかなか消えない多くのベネスエラ人は汗水たらして働くのが苦手だ。

 マドゥーロ政権は国庫赤字を減らすため一昨年から、補助金を削減しガソリンを値上げする必要性を口にしてきた。だが支持者離れを警戒し、実施に踏み切れないできた。しかし昨年12月の国会議員選挙で惨敗したため、ガソリン値上げがやりやすくなった、との見方が出ている。

 一方、政府は23日、ボリバリアーナ革命勢力の再結集を図るため、「祖国会議」の設立を決め、その実現のため「全国促進委員会」を発足させた。保守・右翼野党連合MUDが圧倒的多数派となった国会の場外で「人民議会」のような組織を創り、チャベス派有権者を引き寄せ発掘しようという戦略だ。