2016年1月24日日曜日

スペイン首相の多数派工作不調で左翼政権の可能性浮上

 スペインのマリアーノ・ラホーイ首相は1月23日、国会下院第2党PSOE(スペイン労働社会党、中道左翼、90議席)、ポデモス(左翼、69)、統一左翼(IU、2)などによる連立構想が浮上していることについて、「われわれPP(国民党、右翼、123議席)は上院で過半数、下院で第一党であり、そのような連立政権は機能しない」と述べ、強く牽制した。

 下院の定数は350議席、過半数は176議席である。昨年12月20日の総選挙から一カ月余り、政局は混迷の極にある。

 国王フェリーペ6世は22日、各党党首たちと個別に会談した。ポデモス代表パブロ・イグレシアスは国王に、連立政権構想を示し、その場合、PSOEのペドロ・サンチェス党首が首相、自身が副首相になる、と伝えた。

 この構想を事前にイグレシアスから伝えられていなかったサンチェスは不快感をあらわにし、現時点で、この連立構想に乗るつもりはないと表明した。ポデモスは、スペインからの独立を目指すカタルーニャのため独立の是非を決める国民投票の実施案を支持しており、独立に反対するPSOEと対立してきた。

 弱小政党IUは、ポデモスの呼び掛けに賛意を示している。カタルーニャの独立派諸党は事態を見守っている。

 PPは、PSOEおよび、下院第4党「市民」(中道右翼、40議席)との大連立を模索してきたが、PSOEが反対、市民も態度を保留し、行き詰っている。

 国王は27日再度、各党首から意見を聞き、最終的にラホーイに組閣を求める公算が大きい。だがラホーイが多数派工作に成功する可能性は小さく、これに失敗すれば、ラホーイは首相辞任を余儀なくされると見られている。

 国王から組閣を要請された者は2カ月以内に組閣せねばならない。ラホーイが早々に諦めれば、第2党のPSOE党首サンチェスに組閣責任が回って来る見通し。サンチェスは、これを待ってポデモスなどとの連立工作に着手する公算が大きい。