2016年2月14日日曜日

ベネズエラ最高裁が国会採決を否定、「経済非常事態」成立

 ベネスエラ政府と、国会で圧倒的多数を占める野党連合MUDの対立が先鋭化している。ニコラース・マドゥーロ大統領は1月15日、「60日の経済非常事態」を発動する政令を出したが、国会は22日、これを否決した。

 すると政府派が多数を占める最高裁判所は2月11日、国会の否決を無効と判断、政令は成立した。「非常事態」は、物資不足に対応し物流・供給を促進するため、民間企業保有の財の強制的活用を認めている。

 また、外為投機と外貨流出を抑えるため、通貨ボリーバル紙幣の国外持ち出し量と、国外からの持ち込み量を制限している。

 マドゥーロ大統領は、最高裁判断を受けて12日、「経済非常事態は(60日でなく)今年いっぱいと、来年の必要時期まで維持される」と述べた。さらにMUDを「破壊主義者」、「非愛国者」と攻撃した。

 これに対しヘンリー・ラモス国会議長が指導するMUDは同日、マドゥーロ大統領を政権から引きずり下ろすため改憲か、大統領罷免要求国民投票か、いずれかの合法的措置をとる検討を急ぐ、と強調した。

 憲法規定では、大統領が任期6年の半分を過ぎてから、有権者の20%の署名をもって申請、選管が認めれば、罷免投票が実施される。罷免票が大統領の当選時の票を上回れば、大統領は罷免される。今年4月下旬、マドゥーロの任期は半分を経過する。

 過去に故ウーゴ・チャベス前大統領が罷免投票に直面したが、社会政策拡充などで反転攻勢に出て、罷免派に打ち勝った。

 チャベスの側近だったアリストーブロ・イズトゥーリス執権副大統領は13日、民間企業などによる「経済戦争」に勝つには、生産を増やす以外に道はない、と指摘した。