2016年6月12日日曜日

ベネズエラ大統領が、国民投票実施は来年と言明

 ベネスエラのニコラース・マドゥーロ大統領は6月11日、カラカス市内で開かれた「第1回祖国会議」で、野党連合MUDが請願中の大統領罷免国民投票は実施されるにせよ来年3月ごろになる見通しだ、と述べた。

 大統領は、MUDが提出した185万人分の署名のうち60万人分が、国家選挙理事会(CNE、選管)によって「無効」と判断されたのを受けて、「提出署名の31%が無効だったとは重大な反憲法行為であり、最高裁に13日、請願無効化処分を求めて提訴する」と強調した。

 CNEは、今回「有効」とされた135万人の署名に関し、署名者に今月20~24日、CNE本部・支部に出頭し、指紋照合と意志確認をするよう求めている。
 
 政府は、マドゥーロ大統領の6年の任期が半分を経過した今年1月10日直後にMUDは国民投票を請願すべきだったが、それをせず、5月初めにしたが、不正署名がなかったとしても、正式請願に請願には有権者の20%(400万人)の署名がさらに必要になるため、その検証や投票準備は年内には終わらない、との立場をとっている。

 デルシー・ロドリゲス外相も外交団との会合で、「国民投票実施は来年」と述べた。外相はまた、「内外メディアは、米南方軍司令官が昨年から口にしてきたようなベネスエラへの軍事介入を正当化する口実をつくるため、意図的宣伝に躍起となっている」と糾弾。外部勢力は、ベネスエラの豊かな石油や鉱物資源を狙っている、と指摘した。
 
 MUD内で大統領罷免国民投票を推進してきたミランダ州知事エンリケ・カプリーレスは11日、「MUDは署名を当初260万人分集めたが、80万前後を除いた」と述べ、精査した結果、185万人分をCNEに提出したことを明らかにした。

 MUD内極右は、次期大統領候補指名争いでカプリーレスと対立、署名に参加していない。MUDの弱みは、内部の権力闘争にある。

 政府とMUDの間で対話を仲介している南米諸国連合(ウナスール)のエルネスト・サンペール事務総長は10日カラカスで、我々の経済専門家は、ベネスエラの為替相場の歪みを正すため、通貨ボリーバルの複数ある相場を廃止(自由相場に一本化)すべきだ、と判断したと明らかにした。また、補助金政策や生産政策にも見直しが必要との考えを示した。

 一方、米州諸国機構(OEA)は13~15日サントドミンゴで外相会議を開き、ベネスエラ情勢と米州の人権問題を主要議題として討議する。米国寄りでベネスエラに厳しいルイス・アルマグロOEA事務総長は11日、現地入りした。

 アルマグロは10日、今月23日にワシントンでOEA大使会議を開き、「米州民主憲章」のベネスエラへの段階的適用について話し合う、と発表した。加盟34カ国の過半数18カ国が賛成すれば、同適用を討議する。

 次いで加盟国の3分の2(24カ国)の賛成で、臨時外相会議開催を決め、その会議で24カ国以上が賛成すれば、「憲章」適用によって、ベネスエラのOEA加盟資格は停止される。アルマグロ、米国、パラグアイなどは、停止によって孤立化するベネスエラへの干渉圧力を強めたい戦略だ。

 米国務長官ジョン・ケリーはサントドミンゴ会議に13~14日出席する予定。ベネスエラからはデルシー・ロドリゲスが出席する。゙