2016年8月2日火曜日

ブラジル上院のルセフ大統領弾劾裁判日程固まる

 ブラジル国会上院弾劾特別委員会は8月1日、ヂウマ・ルセフ大統領弾劾審議を2日再開、3日審議し、4日採決する、と発表した。委員会審議は5月12日から中断していた。

 委員会採決結果は5日(リオ五輪開会日)、上院本会議に報告される。本会議は9日、定数81の過半数41で可決できる。可決されれば最高裁が最終弾劾法廷を開廷、29日から5日間の日程で証人喚問などを行なう。

 本会議は9月2日の最終日までに大統領弾劾を決める。弾劾には、定数の3分の2の54議席以上の賛成が必要。

 7月31日にはリオデジャネイロ、サンパウロを始め全国18都市で弾劾反対、賛成両派のデモ行進が実施された。全国で計5万人が参加した。

 有産層主導の弾劾賛成派は、国際メディア五輪取材陣の群がるリオで海岸を行進。これに引きずられて「大統領弾劾賛成派がデモ」と、この日、弾劾反対派も行進していた事実を全く報じない日本メディアもあった。

▼ラ米短信  ベネスエラ国家選挙理事会(CNE=選管)は8月1日、反政府野党連合MUDが提出していた大統領罷免国民投票実施申請に必要な有権者の1%(20万人)の署名の正しさが確認された、と発表した。

 罷免賛成派は次いで、選管が指定する期日内に有権者の20%(400万人万人)の署名を集めて国民投票実施請求をせねばならない。選管は1日段階では、新たな署名収集・提出日を指定しなかった。

 最近の世論調査では、ニコラース・マドゥーロ大統領の不支持率は73%、退陣要求賛成は64%に達している。

▼ラ米短信  ニカラグア国会は7月29日、野党議員16、同補欠12人の計28人の資格を取り消した。同28人は野党連合「民主のための国民連合」(CND)に所属していた。

 CNDは、「独立自由党」(PLI)と、「サンディニスタ改新運動」(MRS)の連合。MRSは、「サンディニスタ民族解放戦線」(FSLM)のダニエル・オルテガ大統領に反対するサンディニスタ分派。資格を奪われた28人中4人はMRS党員だった。

 今年5月、オルテガと通じるペドロ・レジェスという政治経験の乏しい人物がPLI党首の座に着き、エドゥアルド・モンテアレーグレ党首らを追放。レジェスは選管に議員資格剥奪を求めた。

 憲法は、議員議席と所属政党の一体化を謳っており、政党を追いだされた議員らは無所属を宣言した。無所属ならば、議員資格喪失を免れうると考えたからだ。

 ところが選管は、MRS党員を含むCND議員・補欠の資格停止を決め、これを国会に勧告した。国会は28人の追放を決めた。

 背景には、11月6日実施の次期大統領選挙がある。オルテガは連続3選を狙うが、万が一に備えて対立候補を出馬前に潰すため、今回の強引な措置に出た。モンテアレーグレは過去にも出馬したことがあり、知名度は高い。

 大統領出馬登録は8月2日締切りとなる。オルテガは政権党FSLNと16小党派の選挙連合「ニカラグア勝利団結連合」(AUNT)を組み、選挙母体として7月登録した。オルテガは「キリスト教、社会主義、連帯」を政治精神として掲げている。

 28日追放後、内外で「オルテガは事実上の一党支配体制を築き、独裁を恒久化しようとしている」などの非難が出ている。

 ニカラグアの公共対外累積債務は6月末、49億2430万ドル(GDP比37%)に達した。国外からの出稼ぎ者の送金は今年上半期6億ドルで、前年同期比4・7%増し。

 送金額の55%は米国から、21%は隣国コスタ・リカ(CR)から。ニカラグア人口630万人の2割前後は米国、CRなどに住む。2015年の海外からの送金額は12億ドルだった。

 進行中の「ニカラグア大運河」建設事業は、選挙期間中、政府はタブー扱いしている。資金確保の遅れに加え、環境汚染を招いていると反対する世論や、土地収用を拒否する農民ら地主が少なくなく、運河完成に疑問符がついているからだ。