2016年9月13日火曜日

ベネズエラ原油の対キューバ供給代金は265億ドル上回る

 ベネスエラ国営石油PDVSA(ペデベサ)は、故ウーゴ・チャベス前大統領が2000年10月にフィデル・カストロ前玖国家評議会議長と結んだ「統合的協力協定」に基づき、対玖原油供給を開始、当初は日量5万3000bだった。

 クーバは、医療保健、教育、スポーツ、文化各分野の専門家を派遣。原油と人材の<物々交換>となった。02年4月のチャベス体制打倒のクーデター未遂事件後、クーバから軍事および諜報の専門家がベネスエラに派遣された。

 PDVSAの報告では、対玖原油供給は04年、日量9万2000bに増えた。06~15年の9年間の日量は9万4000bだった。この9年間の原油代金を国際価格で計算すると、265億dに達する。

 クーバ側からの人材提供への代価を原油代金の半額と考えると、ベネスエラは130億dを上回る持ち出しとなる。現在減りつつある同国の外貨準備高は121億dであり、その倍以上に上る。

 今年上半期から対玖供給日量は40%以上減ったが、これは経済危機に陥っているベネスエラが現金収入を得られる輸入先を優先せざるを得なくなったためなどによる。

 クーバはエネルギー危機に陥り、7月以降、ロシア政府に供給可能性を打診。クーバの窮状を見かねたアルジェリアは9月初め、原油を当面10~12月の3カ月、供給することを決めている。

★ブラジル短信  ブラジル国会下院本会議(定数470)は9月12日、エドゥアルド・クーニャ前下院議長の下院議員資格を剥奪した。クーニャは国営石油ペトロブラスから巨額の賄賂を受け取り、これをスイスの銀行口座に隠しながら、「国外に口座は持っていない」と証言していた。

 ところがスイス政府が、クーニャ口座の存在を暴露、クーニャはブラジル倫理評議会にかけられることになった。昨年12月、クーニャは、ルセフ政権が倫理評議会にかけられるのを阻止しなかったとして逆恨みし、同月、下院にルセフ大統領弾劾手続き開始を許可した。その結果、国会上院に5月、弾劾法廷が設定され、8月31日、大統領は弾劾罷免された。

 クーニャ追放は、賛成450、反対10、棄権9で決まった。下院議員の190人および上院議員49人が収賄事件関連で捜査対象になっているが、国会議員腐敗の象徴がクーニャだった。クーニャは既に、収賄、資金洗浄、不正資金国外隠匿で起訴されている。

 クーニャの盟友で、ヂウマ罷免によって大統領になったミシェル・テメルも収賄事件に関与。クーニャ失脚が「臭いものに蓋」で終わらず、クーニャが再び逆恨み戦略に出れば、テメルを含む腐敗政治家らに火の粉が及ぶ可能性がある。