2016年9月27日火曜日

★★★コロンビア和平調印、54年続いた内戦終結

 コロンビア・カリブ海岸のカルタヘーナ市にある会議センターで9月26日、1960年以来続いていた政府軍とゲリラ組織コロンビア革命軍(FARC)の内戦に終止符を打つ「最終和平合意書」の調印式が催され、JMサントス大統領とロドリーゴ・ロンドーニョFARC最高司令(ゲリラ名ティモチェンコ)が調印。内戦は正式に終焉した。

 署名には、銃弾で作られたペンが用いられた。戦争から平和に移行するという意味が込められてる。会場には「喜びの歌」の曲が流れた。

 双方は2012年11月からハバナで和平交渉を続け、今年8月、停戦に合意した。FARCは9月半ば過ぎ全国代表者会議を開き、和平合意で一致した。FARCは武装解除、社会復帰を経て、政党として政治に参加する。

 今回の内戦終結により、米州に残存していた東西冷戦の残滓がほぼ消えた。残るは、コロンビアの第2のゲリラ組織「民族解放軍
」(ELN)と政府の和平で、交渉による和平は時間の問題となった。

 サントス大統領は調印後の演説で、「世界から戦争が減った。コロンビアの戦争がなくなったのだ!」と歓喜、「これは単なる署名ではない。もう戦争はこりごりだというコロンビア人の宣言だ」と指摘した。さらに「問題が終わったわけではない。克服すべき問題が残っている」と述べた。

 ロンドーニョ司令は、「我々FARCに起因する全犠牲者に謝罪する」と切り出し、拍手を浴びた。サントス大統領を「勇気ある交渉相手」と讃え、「今後は非武装で政治に参加する。心も武装解除する」と強調。和平交渉の保証国となったクーバとノルウェー、交渉同伴国となったベネスエラとチレに謝意を表した。またラウール・カストロ玖議長、故ウーゴ・チャベスVEN前大統領、ニコラース・マドゥーロ現VEN大統領の名前を挙げて感謝した。

 調印式にはラ米20カ国のうち、大統領選挙を控えているハイチとニカラグアなど数カ国を除く15カ国以上の大統領とラウール議長が出席した。

 パン・ギムン国連事務総長も出席したが、国連はラ米・カリブ諸国共同体(CELAC)にFARCゲリラ集結、武装解除、停戦監視、和平検証の任務を委託している。

 米州諸国機構(OEA)のルイス・アルマグロ事務総長も出席した。OEAは、地雷除去に協力する。コロンビアはアフガニスタンに次い敷設・放置された地雷が多い国とされている。

 ジョン・ケリー米国務長官、ホセ・ムヒーカ前ウルグアイ大統領、フアン=カルロス前スペイン国王、世銀・IMF・米州開銀の各理事長らも出席した。ケリー長官は調印式後、マドゥーロVEN大統領と両国関係について会談した。

 コロンビアでは10月2日、調印された和平合意への承認を懸けた国民投票が実施される。世論調査では、有権者の3分の2は賛成している。