2016年9月16日金曜日

テメル・ブラジル政権がベネスエラに外交で報復

 ブラジル外務省は9月14日、南部共同市場(メルコスール)の伯パラグアイ亜ウルグアイ4カ国外相が共同声明で、同市場の輪番制議長国の役割を合同で担うことを決めた、と発表した。

 半年交代の議長国は7月からベネスエラが担うことになっていたが、5月発足したテメル伯代行政権とカルテス・パラグアイ政権の両右翼政権がベネスエラ就任に反対。マクリ右翼政権の亜国は、スサーナ・マルコーラ外相が国連事務総長選挙に立候補しているため、ベネスエラなどラ米左翼陣営の支持票を必要としていたことから曖昧な態度をとっていた。

 ところが同外相の当選可能性が遠のいたため、マクリ政権は伯パラグアイ両国に同調。メルコスール本部のあるウルグイアはベネスエラの議長国就任を支持していたが、周辺3国が反ベネスエラで足並みをそろえたため、なびいてしまった。

 4カ国外相共同声明はまた、12月1日までにベネスエラが未批准のメルコスール政治、経済、人権規約を批准しなければ、同国は加盟資格停止となる、と通告している。

 ブラジルでは8月31日、ヂウマ・ルセフ大統領が国会で弾劾罷免され、汚職まみれのテメル代行が後継大統領に就任した。この政変をテメルらによる「制度的クーデター」と捉えるベネスエラのニコラース・マドゥーロ大統領は直ちに対伯外交を凍結、ブラジリア駐在大使を召還した。

 テメルは、他の3国に働きかけ、メルコスールからのベネスエラ追放も辞さない強硬な決定に漕ぎつけ、ベネスエラに報復した。マドゥーロ大統領退陣を求めているベネスエラ右翼・保守野党連合MUDは、メルコスール4カ国声明に賛意を表した。

 12月初めベネスエラが資格停止となれば、カリブ海からパタゴニアまで南米大陸を貫くメルコスールは再びブラジル以南の4カ国だけとなる。

 4カ国声明に対し、ベネスエラのデルシー・ロドリゲス外相は、ベネスエラは議長国の任務を既に果たしつつあり、断じて拒否すると反駁した。

 ベネスエラのカリブ海の保養地マルガリータ島では17~18両日、第17回非同盟諸国運動(MNOAL)首脳会議が開かれ、マドゥーロ大統領が任期3年の議長に就任する。テメルが主導した4カ国声明は、MNOAL議長国就任直前のベネスエラに水をかける形となった。

★亜国短信  スサーナ・マルコーラ亜国外相とアラン・ダンカン英外交担当閣外相は9月13日ブエノスイアレスで会談、亜国経由のマルビーナス(フォークランド)諸島首都ポートスタンリー(PS)行きの航空便を月2回とすることで合意した。

 現在、チレLAN航空機が毎週土曜にサンティアゴ-プンタアレナス-PS往復便を運航。第2土曜日だけ亜国リオガジェゴを経由することになっている。今後、ブエノスアイレス経由便を加える公算が大きいとされている。

 双方はまた、経済協力強化で合意した。チレ航空機の亜国経由便を月往復2便にすることも協力強化の一環。

▼伯国短信  ブラジル検察庁は9月14日、ルーラ元大統領夫妻を腐敗、資金洗浄の容疑で起訴した。ルーラ側は、2018年10月の次期大統領選挙に当選が確実視されてきたルーラを出馬させないためのテメルら右翼・保守勢力の陰謀と糾弾している。

★コロンビア短信  コロンビア革命軍(FARC)は9月17~23日、カケター州サンビセンテデカグアーンのジャリー平原で第10回全体会議を開き、政府と間で合意済み内戦和平最終合意を受け入れることを決める。

 会議には代議員200人が出席。最高司令ティモチェンコ、和平交渉代表イバン・マルケスら最高幹部たちも出席する。会議を内外メディア350社の700人が現地で取材する。

 この会議の決定を受け、JMサントス大統領とティモチェンコ司令は9月26日カルタヘーナで最終和平合意書に署名する。この式典には、クーバのラウール・カストロ議長およびベネスエラ智秘赤パラグアイ墨ドミニカ共和国グアテマラ・エルサルバドール・オンドゥーラス・コスタリーカ巴の12カ国大統領が出席を予定している。

 伯亜ウルグイア・ボリビア・アイチ・ニカラグアの大統領は欠席・代理派遣になるもよう。一部が直前に翻意し参加する可能性もある。カルタヘーナでの署名に続き10月2日、コロンビアは国民投票で和平合意を最終決定する。