2016年12月5日月曜日

フィデル・カストロの遺骨、ホセ・マルティ廟の隣に眠る

 11月25日90歳で死去した革命家フィデル・カストロの遺骨は12月4日早朝、サンティアゴデクーバ市の聖母イフィヘニア墓地に新設された墓に埋葬された。花崗岩製で高さ4mの円い形の墓は、クーバ史上最大の人物とされるホセ・マルティの巨大な霊廟のすぐ横にある。

 遺骨を納めた小さな棺は、ラウール・カストロ国家評議会議長の手で、墓の中央にある穴に納められた。議長からは、すすり泣きの声が聞かれた。その穴は、青みがかった大理石の石板で塞がれた。石板には金色の文字で「フィデル」とだけ書かれている。

 墓の右横には、オベリスク状の石柱に、フィデルが2000年5月1日に表明した「革命の概念」の文字が刻まれている。「概念」には、謙虚、正直、愛他主義などが盛り込まれている。

 式典には、ダリア・ソトデルバージェ夫人、息子たちをはじめとする遺族、外国人招待客約40人、クーバ共産党・政府・軍の指導部などが参列。国歌が流され、弔砲21発が轟いた。

 来賓にはベネスエラ、ニカラグア、ボリビアの大統領、ブラジルの前・元大統領、コンゴ、エティオピア、マルチニック島の要人、フランス環境相、亜国元蹴球選手ディエゴ・マラドーナらが含まれていた。

 一方、フィデルが生前、支援を惜しまなかったクーバ国立バレエ団のアリシア・アロンソ団長(間もなく96歳)は3日ハバナで、「フィデルのことを語りたくない。涙が出てくるから」と語った。アリシアはフィデルの死を受けて、フィデルに感謝する声明を発表している。

【アリシア・アロンソのバレエ人生を描いた2015年の映画『ホライズン』(水平線)は現在、東京都写真美術館ホール(電話03-3280-0099)などで上映中。】

▼ラ米短信  ◎ベネスエラが新紙幣発行

 ベネスエラ中央銀行は12月4日、通貨ボリーバル・フエルテ(Bf)の500、1000、5000、1万、2万Bfの新紙幣を15日から流通させる、と発表した。併せて10、50、100Bfの新硬貨も流通する。

 ニコラース・マドゥーロ大統領は今月2日、右翼政財界と在米勢力がハッカー攻撃をかけベネスエラの銀行など金融機関を麻痺させる経済戦争に出て、通貨流通が疎外されている、と表明。新紙幣・硬貨発行に触れていた。