2017年1月6日金曜日

19世紀創刊のパナマ伝統紙が廃刊を当面免れる

 1867年創刊でラ米で最も古い新聞の一つであるパナマの「ラ・エストゥレージャ・デ・パナマ」(パナマの星)および、同じ経営母体の下にある「エル・シグロ」(世紀)紙が廃刊の危機を当面免れた。

 両紙は、レバノン系パナマ人実業家アブドゥル・ワケド氏が経営する企業集団「グルーポ・ワケド」傘下にある。「パナマの星」紙は2006年にワケド財閥に買収された。

 事の起こりは、麻薬資金洗浄の疑いで米財務省の「特別麻薬取引関与指定」(SDNT)を08年4月受けていたワケドが昨年6月、両紙発行に必要な資金繰りをこの1月6日をもって禁止すると同省から言い渡されたこと。
 両紙は5日、最終号の編集に携わっていた。だが事態を憂慮したパナマ政府と議会が米側に善処を求めたことから、財務省は5日、禁止発効日を7月13日まで延期した。これにより両紙は半年余りの延命が可能になった。

 米政府はパナマ市の大使館を通じてパナマ側に、両紙が存続し続ける最良の方法は身売りし、ワケドグループを離れること、と勧告している。

 ワケド財閥は、両紙のほか、商業施設、銀行、不動産、コロン自由貿易地域内の免税店などを所有している。

 米財務省は、ワケドの甥ニダル・ワケドも資金洗浄でSDNT名簿に加えており、フロリダ州の法廷は出頭をニダルに命じている。ニダルは去年5月コロンビアで逮捕され、身柄引き渡しの対象になっている。

 パナマと米国の有識者は、両紙廃刊の危機を「民主の危機」と捉え、両紙存続を支持している。

▼ラ米短信  ◎FARC集結に備え、宿泊所建設へ

 コロンビアのJMサントス大統領は1月5日、メタ州メセ―タスにある和平実施「監視・検証」本部で記者会見し、FARC要員の集結地として全国に19地域および17地点を設けたと前置きし、同地域の広さは平均11平方km、地点を合わせ全体で約300平方kmになると明らかにした。

 また17地区には、FARC要員の宿泊施設を建設するとし、既に関係業者と契約していると述べた。FARC要員一日一人当たりの食費は1万6000ペソで、食糧・食材として渡し、要員が自炊することになるという。

 大統領は、すでに帰順した要員2500人が健康保険制度に組み込まれ、医療手当を受けていると語った。

 監視・検証拠点は24カ所で、監視員は全国対象58人、地域対象264人、地区対象225人。監視団の自動車は93台、監視団の安全保障用に76台が、それぞれ用意されている。

 和平実施は、コロンビア政府、FARC、国連の3者が一体となって遂行。国連監視団は450人で、うち280人は既に入国している。

 一方、国連は5日、入国済みのポルトガル人監視団員ら4人を解任した。FARC主力はコロンビア北東端のグアヒーラ州コネホに
居るが、同地での大晦日のFARC祝賀パーティーで同4人が女性ゲリラと踊ったのを咎められたため。

 そのビデオが流されたため、事実が明らかになった。コロンビア政府は「監視団の中立性が脅かされる」と抗議。これを受けて国連は4人を処分した。4人は出国する。