2017年1月10日火曜日

ボリビアに初の先住民自治市が誕生

 ボリビアで1月8日、最初の先住民主体の自治体が発足した。ムニシピオ(市)の資格を持つ。エボ・モラレス大統領が2009年に制定した新憲法は「多民族国家ボリビア」を規定しているが、その理想を新自治体は具現化した。

 自治体は「チャラグア・イヤンバエ・グアラニー自治市」で、市民3万2000人の7割近くは先住民族グアラニー人が占める。サンタクルース州内にあり、従来はチャラグア市だった。面積は7万4400km2と広大。

 チャラグア市は09年12月、先住民中心の市への移行の是非を問う住民投票を将来実施することを決め、15年9月実施、賛成多数で移行を決めた。

 自治体の政治機構は、①集落、地域、市全体の3段階の「集団決定機関」としての住民会議②市議会③行政府④行政責任者、の4機関で構成される。①は直接民主形態である参加型決定機関で、代議員27人は任期3年。②は議員12人(男女半々)で、任期5年。③は6人で、任期5年。④は1人で、任期3年。いずれも自由選挙で選ばれる。

 自治体発足式に出席したアルバロ・ガルシア=リネア副大統領は祝辞で、「グアラニーは700年前にパラグアイ方面から来た。幾多の苦難、差別、涙があった。ここに至る道は容易なものではなかった。きょうは歴史的瞬間だ」と讃えた。

 副大統領はまた、「参加型直接民主制度の最初の市であるが、効率的に施政するのは簡単なことではない。先例として模範になるかどうか、全国から注目されている」と激励。さらに、「しかしボリビア政府の施政の下にあることを忘れないでほしい」と注意を促した。

 この日まず、市の47部署の担当者が就任した。グアラニー幹部は、「新市制によって、少数者の一族による差別的・排他的支配制度が葬られた」と、民主化の成果を指摘した。モラレス政権は、同様の自治市を増やしていく方針だ。

▼ラ米短信   ◎ベネスエラが「対クーデター・コマンド」を創設

 ベネスエラのニコラース・マドゥーロ大統領は1月8日、タレク・エル-アイサミ副大統領管轄下に「対ゴルペ(クーデター)特殊コマンド」を新設すると発表した。同大統領の残る任期は19年1月までの2年間だが、野党連合MUDをはじめとする反政府勢力を抑え込めば、エル-アイサミが後継者として浮かび上がることになる。

 大統領は、「ベネスエラはLAC(ラ米・カリブ)安定のための堅固な基盤だ。オバーマはボリバリアーナ革命を潰そうとして果たせなかったが、成功していたらLACは悲惨な状況に陥っていただろう」と述べた、

 マドゥーロはまた、最低賃金を50%引き上げ、月4万638bf(約60米ドル)にすると明らかにした。インフレの進行で、庶民の生活は楽でない。

  一方、野党連合MUDが圧倒的多数派の国会(フリオ・ボルヘス議長)は9日、マドゥーロ大統領が「職務を放棄した」とする決議を賛成106で可決。大統領選挙の早期実施を要求した。MUDは、大統領罷免の是非を問う国民投票を大統領が1月10日までに実施するのを意図的に怠ったとして「職務放棄」を宣言した。

▼ラ米短信   ◎FARCは大統領候補を擁立しない

 FARC最高司令ティモチェンコは1月8日、2018年実施の大統領選挙でのFARC候補の出馬はないと前置きし、「和平合意を遵守し遂行する候補を支援する」と述べた。

 昨年10月初めの国民投票で和平賛成派が僅差で敗れたことについては、「FARCは一貫して国民投票実施に反対していた。サントス(大統領)は案の定、十分な支持が得られなかった」と語った。

▼ラ米短信  ◎クーバ内相が死去

 クーバのカルロス・フェルナンデス=ゴンディーン内相(78、革命軍中将)が1月7日病死した。角栄戦争中からのラウール現議長の部下で、アンゴラ戦争で戦功を挙げた。15年10月から内相の地位にあった。

 同内相は今月5日実施された革命国家警察(PNR)創設58周年記念日の行事に出席せず、容体が危ぶまれていた。

 新内相には9日、第一副内相フリオセサル・ガンダリージャ海軍中将が昇格した。対軍事諜報の専門家。