2017年2月28日火曜日

 メキシコ学生43人失踪事件から29カ月、「かくも長き不在」に家族ら苦悩。来年7月の大統領選に人権派が出馬

 「かくも長き不在」という題名の洋画が半世紀前にあった。メヒコ・ゲレロ州イグアラ市で2014年9月26日、アヨツィナパ農村教員養成学校生43人が軍隊、警察に強制連行されたまま行方不明になってから2月26日で29カ月経った。学生たちの家族や友人は、愛する若者たちの長い不在に悲しみ苦悩し怒っている。

 学生たちの家族や支援団体の数百人は25~26両日、メヒコ市で教員組合、労農組合などと共に第5回全国人民会議(CNP)を開き、メヒコの不公正極まりない政治経済社会状況を根本から変えるための話し合いを繰り広げた。

 また両日、目抜きのレフォルマ大通り、フアレス大通りで抗議行進した。検察庁前では抗議集会を催した。政府は捜査継続を約束しているが、本気で捜査する気配は全くない。

 米州諸国機構(OEA)の機関である米州人権委員会(CIDH)はワシントンの本部で3月15~22日、第161回定例会議を開くが、その折、アヨツィナパ学生失踪問題も取り上げことにしている。メヒコの団体「人権擁護増進委員会」、「反犯罪連合」などが、メヒコの人権状況を報告し、問題提起する。

 一方、CIDH前事務局長エミリオ・アルバレス=イカサ政治学博士(51)は26日、「アオラ(今)」という政治運動を基盤に来年7月の大統領選挙に独立候補として出馬する意志を表明した。人権問題専門家の出馬だけに関心を集めている。

 PRI、PAN、PRDなど既存政党に帰属感を持てない無党派層、反政党派層、恒常的棄権主義層などを開発して支持を広げる方針。まずは出馬申請手続きに必要な有権者8万人の署名を集めねばならない。

 既存政党からは、同3党とMORENA(国民刷新運動)の計4人の候補が出馬する。メヒコには決選投票制度がないため、泡沫候補でない候補者が多ければ多いほど当選ラインが下がる。このため独立候補でも、知名度が高ければ当選可能性が出てくる。

 この日、国営石油PEMEXは、今年の原油生産が日量194万4000バレルになると予測した。昨年は日量200万バレルの大台保っていた。