2017年3月30日木曜日

  米州諸国機構(OEA/OAS)が「ベネズエラ問題」で激論。だが「国内対話継続」で合意▼ニカラグアとイスラエルが7年ぶりに国交再開▼コスタ・リカで地域首脳会合開催 

 米州諸国機構(OEA)は3月28日、ワシントンの本部で大使会合を開き、ルイス・アルマグロ事務総長が先に提出したベネスエラ政情に関する報告書および、27日のデルシー・ロドリゲス同国外相の発言を受けて討議した。

 開会に先立ち、ベネスエラ、ニカラグア、ボリビア3国は、「米国益に利するアルマグロ総長の発議に基づく、ベネスエラ内政への干渉であるため会合は開くべきではない」と動議を出したが否決され、会合はベリーズを議長国として開かれた。27日までの18カ国に加えガイアナとベリーズが開会賛成に回った。

 20カ国の中核をなす「G15」の主導国メヒコは、「ベネスエラで民主体制が変更されたか否かを毎月検証すべきだ」と提案。「内政不干渉原則は、民主秩序変更や人権尊重欠如を覆い隠すために使われてはならない」と主張した。

 米国は、「OEA内に友邦グループを結成してベネスエラに派遣し、全当事者の意見を聴くべきだ」と提案。「メヒコ提案の検証実施のため特別デスクを置くべきだ」と述べた。カナダは、「ベネスエラには民主的価値が欠けている。OEAは民主復活に貢献すべきだ」と語った。

 これに対しエル・サルバドールは「アルマグロ報告はベネスエラの主権を侵すもの」、ニカラグアは「この会合自体が違法かつ不法だ」と、それぞれ非難した。ベネスエラのサムエル・モンカーダ大使は、「OEA原則の現行違反だ。反ベネスエラのことばかりが展開されており、徹底的に闘う」と反駁した。

 米国など反ベネスエラ派には、「<政治囚>釈放、選挙日程決定、国会決議尊重」の3点を盛り込んだ決議案の採択を求める意見もあったが、結局、断念。代わって、ベネスエラの政府と保守・右翼野党連合MUDとの対話継続を促す声明を採択した。これには加盟34カ国中、パラグアイを除く33カ国が賛成した。米州で唯一、社会主義クーバはOEAに加盟していない。

 デルシー外相は28日ワシントンで、「メヒコの態度は残念だ。我々ベネスエラはメヒコが国境の壁や移民排斥で困っていた時に連帯したのに」と述べた。また、「OEAは、米州の極右勢力がベネスエラを攻撃するための場となってしまった」と批判した。

 カラカスでは28日、政府と政権党・ベネスエラ統一社会党(PSUV)が動員をかけて「反帝国主義大行進」を実施。演説したタレク・エルアイサミ執権副大統領は、「アルマグロを虚偽拡散(名誉棄損)で訴えるつもりだ」と強調した。また最高裁は、今回のOEA会合開催を支持したMUD議員たちを「反逆罪」で捜査するよう、行政府に要請した。

 ニコラース・マドゥーロ大統領はテレビ取材に対し、「OEAの存在意義を国際社会で検証すべきだ」と訴えた。「メヒコには壁や移民の問題で連帯しようと手を差し伸べたのに、この仕打ちは何だ。メヒコ政府はメヒコ人民にどう説明しようというのか」と憤懣を露わにした。

 一方、米共和党クーバ系極右のマルコ・ルビオ上院議員は28日、米テレビに、「ベネスエラは民主的でないと決議できないようでは、OEAの存在価値はない」と述べた。デルシー外相は29日、「対話継続」が支持されたことを「ベネスエラの勝利」と強調した。

▼ラ米短信   ◎ニカラグアとイスラエルが復交

 ニカラグアとイスラエルは3月28日、国交を再開したと発表した。ニカラグアは、イスラエル軍が2010年、パレスティーナ・ガザ地区に向かっていたトルコ船を攻撃し9人が殺された事件に抗議し、断交した。7年ぶりの復交。

▼ラ米短信   ◎コスタ・リカで29日、墨・中米・コロンビア首脳会合開催

 コスタ・リカ政府は3月28日、首都サンホセで29日、「トゥーストラ・グティエレス対話・協和機構」(MSCTG)の第16回首脳会合を開くと明らかにした。同機構にはメヒコ、中米統合機構(SICA)加盟8カ国国、およびコロンビアの10カ国が加盟している。