2017年4月12日水曜日

  ブラジルのルーラ元大統領が2018年大統領選挙出馬の意思を表明。検察は現職閣僚、上下両院議員ら76人を収賄容疑で捜査へ▼ベネズエラは反チャベス未遂クーデター15周年迎える。マドゥーロ大統領は群衆に卵投げられる

 ブラジルのルーラ元大統領(任期2003年元日~10年大晦日)は4月11日、ラジオインタビューで、「私は労働者党(PT)に求められれば、2018年の大統領選挙に出馬する用意がある」と述べた。出馬意志をこれほど明確にしたのは初めて。

 ルーラは3年前から収賄容疑など5件で起訴され、法廷闘争中。10日には建設最大手オデブレヒト社のマルセロ・オデブレヒト前社長が、「ルーラ大統領に1300万レアル(約415万米ドル)を贈賄した」と証言している。

 これについてルーラは、「虚偽発言がメディアに漏らされるのが問題だ」と前置きし、「当局は私の罪状に関する証拠を提示していない。私は刑務所に入ることなど全く考えたことがない」と反論した。

 さらに、「政敵らは過去3年間、私を叩いてきたが、叩く度に私の支持率が上がるため、神経質になっている。人民大衆は私の
政権期に郷愁を抱いているようだ」と、自信を示した。

 ルーラが裁判で有罪確定となれば、公職から追放されるため、来年の出馬も不可能となる。ルーラは、「彼らは私を挑発してきた。私は挑発される度に一層出馬したくなる」と語った。

 一方、最高裁のエジソン・ファシン判事は5日、検察庁の要請に応じて、収賄事件に絡む現職の閣僚8人、上議24人、下議39人、州知事3人ら計76人の捜査を許可した。

◎ベネスエラがクーデター15周年迎える

 ベネスエラは4月11日、2002年のこの日起きたウーゴ・チャベス大統領(当時)打倒のクーデターの15周年を迎えた。きっかけとなったカラカス中心部ジャグーノ橋一帯には、政府支持派数万人が集まり、政府支持を表明した。

 15年前、この橋の上と橋の下には、反政府勢力と政府支持勢力が対峙していた。反政府派が雇ったエル・サルバドール人の狙撃手らが近くの建物などから銃撃、19人が死亡した。

 クーデターを準備していた経団連と軍部は、この事件の責任をチャベスに被せ、チャベスを拘禁、カリブ海のベネスエラ領の小島に幽閉した。だが軍部内のチャベス支持派が蜂起、チャベスを救い、カラカスの大統領政庁に送り届けた。

 チャベスは、こうして奇蹟的に復権し、クーデター派は一気に潰された。この陰謀の背後にブッシュ米政権がいたことから、チャベスの反米施政が以後、鮮明になる。エンリケ・カプリーレス、レオポルド・ロペスら今日のMUD(保守・右翼野党連合)の中堅政治家は、クーデターに加担し逮捕されたが、チャベスに恩赦された。

 この日、リカルド・モリーナ運輸相は、4月に入ってから10日まで5日に亘って展開されたMUDによる反政府行動で、地下鉄を含む公共施設に総額200万ドルの被害が出た、と明らかにした。MUDによる抗議行進参加者の大勢は平和裡に行動したが、大学生ら若者の別働隊が投石、バリケード設置、最高裁を含む公共施設破壊などで大暴れした。

 国家警察と国家警備隊は放水、催涙ガス弾発射、交通遮断などで取り締まった。一連の事件のさなかに若者2人が死亡した。この街頭暴動事件は、2014年2月に始まり3カ月間続いた「グアリンバ」(街頭暴動事件)に酷似している。逮捕者が数十人出ている。負傷者は200人を超えている。

 一方、ニコラース・マドゥーロ大統領は11日、東南部のボリーバル州グアヤナ市郊外サンフェリックスで、「サンフェリックスの戦い」200周年を記念する軍事式典に出席した。この戦いで独立軍はスペイン植民地軍を破り、その後、勝ち戦を続け、独立に漕ぎつけることになる。

 式典終了後、マドゥーロ大統領は軍用車で大群衆の中を移動していたところ、1~2ダースの鶏卵を投げつけられた。うち1個が大統領の頭部に命中した可能性がある。この事件に関与した青少年5人が逮捕された。

 反政府派は、聖週間さなかの13日も、その後の19日にも抗議行動を予定している。「マドゥーロ打倒」の世論を盛り上げ、軍部に決起させるのがMUDの狙いだ。米政府や保守・右翼の外国メディアはMUDを支援している。