2017年5月9日火曜日

  ベネズエラ政権打倒のクーデターの陰謀が底流で進行。それを横目に、制憲議会(ANC)開設目指すマドゥーロ政権は諮問会合続ける。物産展も成功裏に終わる▼『世界』誌6月号が最新キューバ情勢分析記事を掲載 

 ベネスエラの保守・右翼野党連合MUDを中核とする反政府勢力、米州諸国機構(OEA)のL・アルマグロ事務総長および反ベネスエラ諸国、米政府、内外謀略メディア・NGOが連携してのゴルペ(クーデター)の陰謀が底流で進行する中、ニコラース・マドゥーロ大統領のベネスエラ政権は政経両面で政策を淡々とこなしている。

 「主権的物資供給大任務」(GMAS)の生産展が5月8日、5日間の日程を終えた。閉会式でマドゥーロ大統領は、「展示会の目的は国の製薬と食糧生産の能力を示すことだった」と述べ、723の個人、法人、特殊団体に巨額の振興融資をしたことを明らかにした。展示会には、民間企業89社、公共事業体42、人民組織27の、計158の産品などが展示され、3万人が見物に訪れた。

 政府は、国営(非石油)基幹産業の今年第1・4半期の鉄板などの輸出が1億270万ドルに達したと発表した。今年の輸出目標は10億ドル。去年の出来高は4億7000万ドルだった。ベネスエラは、「脱石油経済」建設という遠い目標に向かって地味な歩みを進めている。

 制憲議会(ANC)担当のエリーアス・ハウア教育相は8日、各界代表を招いての意見聴取・諮問会合の進展を強調。会合出席を拒否したMUDと、左翼諸政治運動・政党に出席を呼び掛けた。

 マドゥーロ大統領も、国軍強化と、民・軍一体化強化のため、ANCに積極的に提案してほしい、と国軍に要請した。

 一方、デルシー・ロドリゲス外相は8日、コロンビアのJMサントス大統領がベネスエラの民主や人権に関し批判的に発言したことについて、「コロンビアの内戦解決に尽力したベネスエラに背中から一刺し、独立と自由の歴史を共有する仲を裏切った」と厳しく指摘。「ベネスエラは、財界やメディアとつるんだコロンビア政府の組織的攻撃の標的にされている。サントスは、ベネスエラの反政府勢力と同じことを言っている」と非難した。

 続けて、「サントスは内政の失敗責任を覆い隠すためベネスエラを攻撃し、併せて米政府のお褒めに与ろうとしている」と糾弾。「内政干渉を止めよ。他国に教訓を垂れる前に、自国の諸問題に対処すべきだ」と突き放した。外相は、コロンビアで今年1~4月、人権活動家41人が殺害された事実などを列挙した。

 マイアミで8日開かれたベネスエラ反政府系の会合で、フロリダ州のリチャード・スコット知事は、「マドゥーロは即時辞任せよ」と言い放った。この暴言が、ゴルペ決行の条件醸成のために計算された一かけらであるのは言うまでもない。

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