2017年8月7日月曜日

★軍事蜂起でなく準軍部隊のテロ攻撃、とマドゥーロ・ベネズエラ大統領が指摘▼米国とコロンビアで組織された、と非難▼野党連合MUD右翼も州選挙参加へ▼ボリビアがメルコスールを糾弾▼パラグアイ先住民が政治運動結成

 ベネスエラのニコラース・マドゥーロ大統領は8月6日、国営テレビVTVの定例番組で、同日未明起きた「軍事蜂起」について、「軍事蜂起でも何でもない。テロリズムの攻撃だった」と述べた。

 大統領は、国軍最高司令官として統合司令部に詰めて事態収拾の指揮に当たったとし、「米国とコロンビアに資金支援され組織された約20人の準軍部隊だった。陸軍部隊が3時間の戦闘を経て10人を制圧したが、他の分子は逃走中」と明らかにした。

 制圧された10人のうち2人は死亡、負傷者1人を含む8人は逮捕された。うち一人は脱走していた陸軍中尉で、自白し、情報を提供しているという。一味には、同中尉の仲間の女婿記者パトリシア・ポレオが加担している、とも明らかにした。国家に銃を向けた犯罪者は厳罰に処す、とも語った。

 マドゥーロは、国軍全部隊・全施設に警備と諜報を強化するよう命じた、と強調。「我々は1週間前には投票で勝利したが、今日は戦闘で勝った」と述べ、7月30日実施の制憲議会(ANC)議員選挙を想起させた。

 事件のあったバレンシア市内の陸軍第41機甲旅団基地上空にはヘリコプターが旋回。基地周辺は装甲車部隊が警備している。一部市民はバリケードを構築したが、国家警備隊(GNB)が撤去した。

 ANCは6日、政治的暴力事件を究明する「正義・真実委員会」に強権を与える方針を固めた。この委員会に証人喚問された者は出席を拒否できない、ことなどが定められる。

 国家選挙理事会(CNE)は同日、民主行動党(AD)に続いて、「進歩主義前衛」(AP)、「新時代」(UNT)、「まず正義を」(PJ)、「人民意志」(VP)の野党連合MUDの4党も、12月実施の州知事・州会議員選挙に参加すると明らかにした。

 MUD極右のVPとPJは、4月以来の街頭暴力の首謀者。ANC開設が既成事実となり、暴力への拒否反応が社会に強まっていることから、戦略的変更を余儀なくされたのかもしれない。国会機能がANCに吸収されれば、合法的政治基盤を失うため、手を打つことを余儀なくされたと見ることもできる。

 一方、ボリビア政府は6日声明を発表、ベネスエラの加盟資格を「恒久的停止」とした南部共同市場(メルコルール)の5日の決定について、「ベネスエラへの内政干渉と資格停止に関する処分を糾弾する」と、強く抗議した。

▼ラ米短信   ◎パラグアイ先住民が政治運動結成

 パラグアイの無混血先住民10万人の一部である1万5000人は、「パラグアイ多民族先住民政治運動」(MPIPP)を、国政選挙に参加できる政治会派として登録する準備を進めている。先住民の権利は自分たちで守るしかない、との政治的結論に基づく。